ビジネスパーソンの中には、支社に出向いたり商談に出掛けたりと、中長期の出張に行かなくてはならない人も少なくない(筆者の知人には、年に200日出張が入っているという人もいる)。ビジネス民泊は、そういった会社員に向けての取り組みだ。
宿泊料は安いビジネスホテルと比べると多少割高になるものもある。ただし、ワンルーム〜1Kのマンションを利用しているので、一定の広さ(最低でも25平米以上)が担保されているのがポイントだ。
ほとんどの物件で洗濯機、浴室乾燥機、電子レンジ、冷蔵庫といった家電がそろっているので、洗濯や料理ができるのも評判がいい。長期のホテル滞在だと、洗濯に不便を感じたり、外食続きで財布や健康に影響が……というケースも少なくない。もちろんWi-Fiが完備している部屋も多いので、部屋での仕事に支障はない。
ホテル暮らしで地味に面倒なのがカギの扱い。外出するときはいちいちフロントに預けなければいけないが、ビジネス民泊の場合、期間中カギを自分で管理するので、どんなタイミングでも気兼ねなく外出ができる。
さらに言えば、部屋に人を呼んでも大丈夫。親しくなった相手と宅飲みを……ということもできるかも(ただし、泊めてしまうと部屋によっては旅館業法違反になることもあるので、“宅飲みからの寝落ち”にはくれぐれもご注意)。
ビジネス民泊では、“ちょっといいマンションに単身赴任”しているような感覚で過ごせるのだ。「STAY JAPAN」の公認民泊なら事前に「ここで民泊をやっている」と近隣住民へしっかり周知しているので、近隣とのトラブルも少ない。
まだ構想中だが、今後はよりビジネスに特化した部屋も作ることを企画しているのだとか。
「よく『資料が印刷できなくて困る』という声を聞く。コピー機やプリンタを備えるようにすれば、その需要に応えられる。プロジェクターなどを付けて、オフィスやSOHO利用方面にも伸ばしていきたい」
「STAY JAPAN」でビジネス民泊を押し出し始めてから約半年。最初は「求めている層は多いはずだが、本当にいるのだろうか」と疑っていたが、滑り出しは「思ったより利用があった」のだという。
現在、プラットフォーム上で登録されている部屋が250弱。農家民宿・体験民宿が200件ほどで、ビジネス使用をアピールしたものは約30部屋だ。その中には、とまれるが自社で運用する物件も3部屋ある。
「本来、とまれるはプラットフォーマ―。自社で部屋を運用する必要はない。だが、いわば“民泊のお手本”を示すために、自分たちで部屋を借り上げている。現在は3部屋だが、いずれは100部屋に増やしていきたい」
ビジネス民泊30部屋の6月末までの使用状況は567泊。そのうち法人でまとめて借りる利用は163泊だ。1週間、1カ月単位で借りられている部屋も多く、部屋によっては1カ月先、2カ月先まで予約が入っているものもある。
「現在は利用者の85%以上が国内。海外からの利用は、旅行者というよりも、海外に住んでいる日本人家族の帰省利用といったケースが多い。観光客以外で宿を求めている層にしっかり届いた」
まだビジネスとしては投資状態にあるが、将来的には登録を3000部屋ほどに伸ばしていければと三口さんは考えている。
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