世界のトップリーダーは、どんな休暇を送っているのか世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

» 2016年08月12日 07時39分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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迂闊に休暇を取れない

 ここまで世界の首脳らの休暇を見てきたが、国によっては首脳が休暇などでゆったり過ごすことが命取りになりかねない場合もある。

 例えば最近、クーデター未遂で世界的なニュースとなったトルコがいい例だ。クーデターの試みが始まったとき、レセップ・タイイップ・エルドアン大統領はトルコ南西部マルマリスで家族とともに休暇を過ごしていた。つまり、実質的な最高権力者であるエルドアンが首都アンカラに不在のタイミングを見計らって、クーデター作戦は遂行されたのである。

 不安定な国では、首脳が外遊や休暇で国や首都を不在にする際に、政権転覆を狙うクーデターなどが起きやすい。そういう国のリーダーは残念ながら、迂闊(うかつ)に休暇を取れないのだ。

 クーデターなど心配をせずにゆっくり休暇を過ごすためには、毎年のように高級リゾートでゆっくりとした時間を過ごすオバマなど先進国の首脳らに、国家のあり方についてアドバイスを受けるしかないのかもしれない。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。


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