では親は何一つ助けることはできないのでしょうか?
ぜひお勧めしたいのは、ご自分がどんな仕事をして、何によって給料をもらっていたかという話をすることです。キャリア学的に言えばご自身のコンピテンシーを子供に説明してあげるのです。親になる年代です方、新卒後、現在に至るまで普通であればさまざまな職場や部署、中には転職した経験のある方もおられるでしょう。そうした変遷を通じ、ご自身がどんなことを成し遂げ、何が評価され何が評価されなかったのか、その歴史、経験を説明してあげるのです。
特に参考になるのは不本意な就職や不本意な異動、業務のミスなど、失敗談です。学生の知識は社会を知るにはあまりに少なく、また学問的な知識とは別に、実社会におけるキャリア実現というものを体験できません。
特に今、内定先を得られず焦っている学生は、その志望先選択を誤っている可能性が高いのです。最終製品のテレビCMでバンバン打っている超大手、超有名企業を中心に就活を進めてしまった結果、持ち駒すべてを失ってしまう学生は、高偏差値大学でも少なくありません。逆に中堅以下の大学であっても、身の丈に合う企業を志望し、早々と内定を取っている学生はいくらでもいます。
すべてはマッチングです。自分だけが有名企業を望んでも、相手も有名大学の超優秀学生を望む以上、マッチングは成立しません。互いの希望のバランスが取れる時、これを実社会で苦労された親の皆さんならたくさん持っているのではないでしょうか。またそうしたバランスは初めから取れるものでも用意されたものでもなく、偶然だったり、最初不本意と思っていた職場が気付いたら安住の地だったとか、時間の流れによって変化するものでもあったのではないでしょうか。
就職は単に条件と条件の摺合せではありません。マッチングの意味を矮小化して理解してしまいがちです。そこを補正できる最高のお手本は、人生の先輩である親ではないでしょうか。くれぐれも余計な口出しやアドバイスは不要だということを肝に銘じてください。(増沢隆太)
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