――そもそもなぜVRを活用しようと考えたのでしょうか
大城: さまざまなECサイトが乱立している現在、既存のECサイトとどう差別化を図っていくのか考えたとき、エンターテインメイント性を盛り込むことが重要になると考えました。そのためにコト(体験)から入っていくECメディアを目指し、VRを活用しようと思ったわけです。
例えば、食品なら、工場での生産過程を見せてたりして安全性をアピールしたり、伝統工芸品なら、その歴史をVRで体験させたり――といった具合にストーリーをショッピングに盛り込んでいくことで、今までの売れなかったモノも、見せ方次第で売れるようになっていくのではないでしょうか。
――VRを活用したショッピングは、親和性が高いファッションやインテリア以外でも展開していくのですね
大城: もちろん、最終的には全ジャンルで展開していきます。例えば旅行関係であれば、旅館やホテルの部屋選びなどにも相性がいい。VRは空間を再現できるところに強みがありますから、そこを生かしていきたいですね。まずは、ファッション、インテリア関連の商品を中心に、来春までに約100万点用意します。使ってもらうターゲットは20〜30代で、高額な商品を買ってくれる人を狙っています。VRを使ったショッピングサイトは国内初ですので未知数ではありますが、本サービスの導入によって、現状から30%ほどコンバージョン率が向上すると見込んでいます。
――今後、VRを活用したショッピングが当たり前になり、従来のECサイトは淘汰(とうた)されていくのでしょうか
大城: いや、それはないと思います。ECサイトが登場しても、既存店舗が潰れたりせず、むしろ融合していったように、基本的には既存のECサイトとコラボしていくものになると思います。私たちもVRだけで勝負するわけではなく、動画や記事、画像、そしてVRを組み合わせて商品を訴求していきます。VRはあくまで1つのツールです。
――インバウンドや地方創生にはどのように関わっていくのか教えてください
大城: インバウンド消費も「モノ」から「コト」に移ってきています。実現はもう少し先にはなりますが、インバウンド向けにはVR上で銀座や浅草などの観光地を歩けるようにして、観光(体験)要素を取り入れたショッピングを実現しようと思っています。各店舗と連携し、海外のユーザーが日本の街を歩きながら、気になった店で実際にショッピングができるように進めています。
また、東京などの大都市圏だけでなく、地方にもそれを適応していくことで地方創生に寄与できます。例えば、VR上で地方の観光地やお祭りを見物できるようにすることで、その地域産の商品を購入したり、実際に現地に足を運ぶきっかけを作ることができると思っています。行政や地方企業とうまく連携することで、「VR Shopping with Voice Chat」が地方活性化の起爆剤になれれば幸いです。
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