やっぱり「ふんどし女子が増えている」はステマなのかスピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2016年08月30日 07時34分 公開
[窪田順生ITmedia]

種をまいて、ようやく芽が出てきた

 「ふんどし女子」というあまりに狙った感のあるワードがゆえ、「これ、絶対にバズりますよ!」とドヤ顔でプレゼンをしている広告代理店のクリエイターの姿と結びつけてしまう方も多いだろうが、これまで経緯を踏まえると、以前から続く地道な「種まき」が、ここにきてようやく「芽」を出してきている、という見方の方がしっくりとくるのだ。

 実際、歴史を振り返れば、「ふんどし協会」以外にも繊維業者、芸大生などなさまざまな人たちが「女性用ふんどし」を普及してきた。中でも、現在の「ふんどし女子」ブームの礎を築いたと言っても過言ではないのが、先ごろの参院選にも出馬された女優・高樹沙耶さんだ。

 2008年2月、日本テレビの『メレンゲの気持ち』に出演された高樹さんは「ふんどし」を愛用していることを告白。これは反響がすさまじかった。先ほどの「パンドルショーツ」も発売当初は月30枚ほどしか売れなかったが、高樹さんの発言を受けて、『多い月で3000枚が売れるまでに』(2009年4月23日 北海道新聞)なったという。

 そう聞くと、またまた「ステマだ!」とか騒ぐ人がいるかもしれないが、高樹さんが身に着けているのは、どこかの商品などではなく、自らの「手作りふんどし」だ。当時のブログにも商売っ気のかけらもない「動機」が語られている。

 『フリーダイビングやハワイに住むことで地球の素晴らしさと奇跡を悟り、地球人として品性品格のある生き方をしたいという思いで、ふんどしをしめなおしたというのが私のふんどしのいきさつです』

 「いや、そうだとしても、あの人にそんなに影響力はないでしょ」と思う方もいるかもしれないが、これには当時の世相も関係している。もはや忘れている方も多いだろうが、2007年に公開された映画『不都合な真実』の影響もあって08年ごろは「エコ」が大ブーム。地球に優しいというだけで企業も消費者も飛びついたものだ。

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