その後、岐阜県は産業育成のための「ぎふ次世代アニメ研究会」を設立。2007年には飛騨市で、世界16カ国・地域から115作品をコンテストする「飛騨国際メルヘンアニメ映像祭」を開催。各務原市では、日本のアニメ産業を盛り上げようと「アニメまつり」が開催されるようになった。
いやいや、いくら「アニメ・マンガ=産業振興」という戦略を昔からやっていたからといっても、現代の「聖地巡礼」とはなんの関係ないでしょ、と思うかもしれないが、そんなことはない。
実は1990年代、飛騨の白川村以外にも、「マンガ・アニメ」に活路を見出した自治体がいくつかあった。高知市、長野県上田市、埼玉県大宮市(現・さいたま市)、岡山県川上町(現・高梁市)、熊本県湯前町、北海道上湧別町(現・湧別町)だ。ここに白川村も加わった7自治体は、1996年に大阪で開かれた「今世紀最大のマンガ王国―日本漫画博覧会'96」というイベントに集い、「マンガまちおこしサミット」で意見交換もしている。
「ふーん、だからなに?」と思うかもしれないが、この顔ぶれにピンとくる方も多いのではないか。
高知市といえば、スタジオジブリの『海がきこえる』の舞台、上田市は『サマーウォーズ』の舞台として知られ、今も多くのファンが「聖地巡礼」を楽しんでいる。さいたま市は、『らき☆すた』『浦和の調ちゃん』をはじめ、『君の名は。』の新海誠監督の『ほしのこえ』にも登場しており、先のニュースでもあったように「マンガ県・埼玉」の中心的役割を担うエリアだ。また、岡山県高梁市は『愛・天地無用!』の舞台。熊本県球磨郡湯前町には「聖地」はないものの、隣接する人吉市をはじめ球磨郡全体が『夏目友人帳』の舞台のモデルとなったとされ、多くのファンが訪れている。
つまり、20年前の「マンガまちおこしサミット」に出席した7自治体のうち6自治体がその後、アニメ作品の「聖地」を生み出し、しっかりと地域振興に結び付けているのだ。
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