――逆に文句を言いたい部分はありますか?
ケンジ: ストーリーはかなりツッコミどころがありますよね。彗星の軌道がおかしかったり、時間のズレに気付かないところとか。そこはちょっと甘かったかも。
ヒデタカ: 入れ替わったシーンで、瀧の体の中に入った三葉がバイトに行くじゃん。あれが偉すぎると思った。俺だったらまず学校に行けない。サボると思う。新海監督の作品は、SF的な要素はあるけど、重視はしてないよね。重要なのは“男女の出会いと別れ”であって、こまけえこたぁいいんだよ!
ケンジ: 後半のあのシーンは少なからず震災を思い出させるし、重ねる人もいるだろうね。その事実をいい方向へシフトさせることで、「復興」をイメージさせているのかも。でも、新海監督ってそこまで社会的なメッセージを込めたりするような人でもなさそうだから、これは深読みが過ぎるかもしれないけど。
ヒデタカ: そこはそこまで考える必要はなくて、喪失感の演出だと思っていたけどなー。
ケンジ: 細かいことを気に出すときりがなくて。「おばあちゃん、もっと活躍すると思ってた」とか、「奥寺先輩、なんだったんだ?」とか、「これって、ゼロ年代的なループものの系譜にあるのか?」とか……。あと、見た中高生に聞きたいのは、「この話が理解できたのかな?」というところ。視点がくるくる切り替わるし、記憶もなくなっていくという設定に、ついていけたのかな? 僕は実は我慢できずに小説版から読んで、ストーリーを把握した状態で鑑賞したので、初見の人の感想が分からないんです。
――確かに、「ここについてもうちょっと知りたい」というところは残りました。クライマックスシーンは特に。
ケンジ: もし「よく分からなかったなー」と思ってもう1回見に行くつもりの人は、小説版を読んでみてほしい。あと、外伝小説の『君の名は。Another Side:Earthbound』も発売されていて、そちらもオススメ。こちらは『ほしのこえ』や『雲のむこう』『秒速』でも小説を手掛けた加納新太さんが書いているんだけど、三葉の母親の話だったり、テッシーが抱える思いだったり、瀧と三葉以外の登場人物にもフィーチャーしています。
ヒデタカ: 俺はそんなにツッコミポイントは見えませんでした。「そういうものだ」と受け入れれば、何も考えずに気持ちよく見れる。今から見る人には、「考えるな、感じろ!」とアドバイスしたい。
ケンジ: まあ、確かに……。葛藤や心の声が極力抑えられているし、そうやって見る方が楽かもしれない。
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