シベリア鉄道の北海道上陸に立ちはだかる根本的な問題杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)

» 2016年10月07日 06時30分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 軌間については日ロのどちらかに合わせる必要はない。どちらの貨車もISO国際コンテナ規格に対応しているから、接続駅にガントリークレーンを設置して積み替えればいい。あるいは貨車をつり上げて台車をごっそり外して交換する方法もある。奇抜な方法だけど、ロシア〜中国、中国〜ベトナム、ロシア〜EU国境などでは日常茶飯事だ。

 さらに奇抜な方法として、フリーゲージ貨車を開発したっていい。九州新幹線長崎ルートでは手こずっているけれど、こちらは動力なしの貨車である。2つの海峡のトンネルと鉄橋を整えるまでは実現できると思う。

モルドバ駅で交換を待つ台車(出典:flickr、Chris Price) モルドバ駅で交換を待つ台車(出典:flickr、Chris Price

 日本側接続路線の問題は、JR北海道に対して国が積極的に関与し、宗谷本線を維持、稚内〜宗谷岬間を延伸して対応しよう。対ロ経済政策の一環として国内路線を維持するわけだから、JR北海道も異論はないだろう。どうしてもJR北海道が手放したいなら、宗谷本線を国営路線に戻すまでのこと。

 夢を上塗りさせてもらうなら、北海道新幹線を宗谷岬へ延伸し、貨物新幹線を実現させて、ISOコンテナを仙台、大宮まで運び、そこからトラックや在来線貨物列車に積み替えたい。そこまで実施して高速化すれば、日本海航路に対して優位に立てる。さらに夢を厚塗りするなら、日韓トンネルで韓国ともレールをつなぐ。韓国はウラジオストク経由のシベリア鉄道貨物輸送のお得意さまだ。それを日本の鉄道経由へごっそりいただこう。

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