コンビニ本部は、売り上げがよくない店はさっさと閉めて近くに別の店をつく作るという方法で、チェーン全体の平均売り上げを少しずつ伸ばしてきた。しかし、売り上げの高い店も安心していられない。売り上げの高い店にも弱点があるからだ。平日の昼休みや夕方5時以降の帰宅時間といったピーク時はお客さんが増えて行列ができる。行列を緩和するためにコンビニはレジを増設するなどして対応するものの、限界はある。
お客さんにとって、コンビニのレジに並ぶことはストレスだ。「弁当1つ買うだけなのにずいぶん時間がかかるなあ……だったらほかのコンビニに行こう」となる。要するに、飽和状態なのだ。
そして、売り上げが高い店は新たな出店計画の「ターゲット」にされやすい。「A店は売り上げが高そうだ。だったら、A店の前に店をつくれば……」というように目を付けられる。同一商圏で新しいコンビニが建つと、既存店舗は確実に売り上げを奪われてしまう。
「そんなこと言っても、『この店は儲かっている』『この店は儲かっていない』なんてどのようにして見極めるの?」と思われた読者もいるだろう。実は、各店の売り上げはどのくらいあるのか、推測することはそれほど難しくない。本部の人間でなくても、並んでいる弁当の数とピーク時間の来店客数を見れば、その店の売り上げをある程度予測できるのだ。
例えば、「昼間のピーク時に弁当が〇〇個並んでいる。ということは、1日の弁当の販売数は〇〇個ぐらいだろう。弁当の平均単価は●●円だから、1日当たりの弁当の売り上げは●○円。弁当の売り上げは全体の□□%だから、この店の1日の売り上げはおよそ■■円」――というように。
同様に、1日の来店客数も昼間のピーク時を見ていれば見当が付く。コンビニの売り上げは、この来店客数に平均単価を掛ければ分かるという仕組みだ。
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