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» 2016年11月03日 06時00分 UPDATE

高井尚之が探るヒットの裏側:ロードスターが高く評価されるワケ (4/4)

[高井尚之,ITmedia]
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自動運転よりも「運転の楽しさ」を追求

 ところで、現在の自動車業界で最も関心の高いテーマは「自動運転」だ。グーグルなどIT企業も同技術に積極的に関与する。社内からは「運転しないクルマなんて楽しくない」という声も挙がるマツダでは、どう考えて自動運転技術と向き合っているのだろうか。

 「自動運転を否定するわけでなく、方向性の違いだと思っています。そもそもクルマとは、人が自由に移動できる距離を伸ばすための道具ですから、それを全面的に機械に任せて利便性だけを追い求めるのが自動運転の考え。マツダはそうではなくて、人が、相棒であるクルマを運転する喜びや達成感を追求しています。その上で、もし走行中に運転手が急病になったら自動運転に切り替り、車両を安全な場所まで移動する自動運転技術なども研究しています」(松本氏)

 同社では人間の深層心理とも向き合う。もともと人には「向上心」が備わっており、運転が上達したいのもその1つという考えだ。一方、メディアで報じられるように「クルマを所有しない」時代といわれ、若者を中心に自動車保有率は下がっている。それに対する思いはどうか。松本氏は、「クルマ以外にさまざまな楽しみがある時代だが」と前置きしつつ、「大人のクルマ文化の衰退」も指摘する。

 「昔に比べてクルマを本当に楽しんでいるお父さん、お母さんの姿が少なくなっています。それを見て育った子供は、クルマに対する憧れが弱くなるのではないでしょうか。自動車メーカーとしてのマツダは、見てカッコいいクルマや操作する楽しさのあるクルマを開発することで、もう一度、大人のクルマ文化を活性化させたいと考えています」(同)

 2つの興味深いデータがある。自動車教習所で使う教習車には、同社の「アクセラ」がトップシェアで、国内教習車市場の約3分の1を占めるという。また、レンタカーの人気車種ランキングでも、マツダの「デミオ」「アクセラ」が上位に名を連ねるケースが多い。

photo 教習車用の「マツダ アクセラ」

 「消費者とマツダ車の最初の接点が教習所でも、レンタカーでもいいと思います。それでマツダのクルマの乗り心地を体感すれば、いつか購入を考えた際の選択肢に加えていただけると考えています」(同)

 国内の数字で見れば、2015年の新車販売台数は504万6511台(軽自動車含む。対前年比9.3%減)となるなか、マツダ車は20万842台(同20%増)となっている。クルマ離れが進む時代に、対象ユーザーを広げる活動で業績を伸ばす同社の手法は「成熟市場でも、まだまだできることはある」一例と言えそうだ。

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