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» 2016年11月03日 06時00分 UPDATE

高井尚之が探るヒットの裏側:ロードスターが高く評価されるワケ (3/4)

[高井尚之,ITmedia]

運転席も「走りやすさ」中心に設計

 筆者の仕事仲間のカメラマンの中にはクルマ好きも多く、あえて快適性の悪いクルマを選び、それに撮影機材を積んで仕事に向かう人もいる。同乗すると一般道でも悪路のような乗り心地だ。先ほどの例でいえば暴れ馬だが、マツダのクルマはそれとは違い、「クルマが動き出す前から人とクルマとのつながりを重視している」という。

 「運転席に乗り込む際にスムーズに入れることから考えています。そのためにドアノブの位置、形、開き方を見直しました。その後に運転席に座ったときの快適性も重視しており、まず人を座らせて、その後でハンドルやペダルなどの操作機能を設置し、エンジンやサスペンションを設置するように設計思想を変えたのです」(松本氏)

 機能軸から入っていた当時は、まずエンジンやサスペンション、タイヤを設置し、機能性重視でハンドルやペダルを置き、残った空間に人を座らせる設計だったという。もちろんその中での快適性は追求していたが、「人中心」での設計目線はなかった。

 「現在では思想を共通にして技術を水平展開しています。マツダには小型車のデミオもあれば、セダンやワゴンのアテンザもあり、スポーツカーのロードスターもありますが、どのタイプのクルマでも、共通してマツダ車の乗り心地を感じられます」(松本氏)

 情報機器についても紹介しよう。IT技術の進展で運転席の情報機器も、以前に比べて格段の進展を遂げた。先日、筆者が乗った友人のクルマには、カーナビゲーションから、「この先、300メートル先で、昼間に警察の速度取り締まりが行われました」と音声情報が流れていた。運転席にカーナビが搭載され、インターネットを介した付加価値情報が増えると、利便性が高まる一方で、ややもすれば情報過多になりかねない。

 そこで同社では「走行情報」と「快適・利便情報」に分けて設置した。走行情報とは、運転席の正面にあるスピードメーター(走行速度計)やタコメーター(回転速度計)、燃料計、方向指示表示灯など走行に関連した情報だ。それ以外のカーナビやインターネットラジオなどは少し左側に設置し、運転に集中できる環境を高めたのだ。

photo 運転席回りの情報を整理

 こうした設計思想を反映させたのは、2012年に発売された「CX-5」からだ。以来、現在までに6車種が発売されているが、その半分の車種が日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことになる。これについては松本氏も「1台だけではなく、小型車からスポーツタイプまでご評価いただいた。私たちの目指してきた道は間違っていなかったなと確信することができました」と率直な感想を述べていた。

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