かつては「バズワード」と揶揄されたクラウドだが、各種サービスが企業の実ビジネスを支える基盤として活用されるようになった今、破竹の勢いで市場拡大し、巨額の経済効果をもたらしている。
ITサービス大手の米Amazonが今年10月末に発表した第3四半期決算では、引き続きクラウド事業のAmazon Web Service(AWS)が前年同期比55%で伸長するなど、ビジネスシーンで大きな注目を集めている。
実は、衛星業界でもAWSなどクラウドサービスの利活用が進んでいるのをご存じだろうか。そこで今回は、欧州、米国、日本それぞれの最新事例を紹介したい。
10月25日にスペインの首都マドリードで開催された宇宙ビジネス関連イベント「第3回 Satellite Masters Conference」で、最新のコペルニクス・マスターズの大賞および各賞の発表が行われた。コペルニクス・マスターズとは、欧州が進める地球観測プログラム「コペルニクス」の利活用において、革新的商業アイデアを募るためのビジネスコンテストだ。
9つの部門で表彰があり、今年の大賞はスロベニアのソフトウェア企業、Sinergiseが提供する「Sentinel Hub」が受賞した。Sentinel Hubは、コペルニクスを構成するセンチネル衛星が取得する地球観測データの処理、配付、解析を行うためのGIS(地理情報システム)プラットフォームだ。従来のやり方と異なるのは、汎用的なクラウドサービスであるAWSを活用している点である。
Sentinel Hubではクラウド技術を活用することで複数の課題を解決している。1つ目はデータアクセスとデータ処理を容易にしたこと、これによりユーザーは衛星画像ピクセルごとのシャッフル作業などの単純業務から解放される。2つ目は簡易解析ツールも提供されており、衛星画像のエキスパートでなくても利用できること。さらには衛星データをデスクトップ、Web、モバイルなどのさまざまなGISアプリケーションに容易に統合できるようにしたことだ。これらによりユーザーはアプリケーション開発に専念できるようになったことが大きい。
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