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» 2016年11月29日 06時00分 UPDATE

“いま”が分かるビジネス塾:技術革新は本当に長時間労働をなくすのか (3/5)

[加谷珪一,ITmedia]

AIを導入すると資本だけで経済が回るようになる

 経済学の理論では、経済成長は資本投下と労働投下の2つで決まるとされている。より多くの資本や労働を投下すれば、その分だけ生産量を増せるという仕組みである。

 ところがAIが普及してくると、機械が人の代りに仕事をしてくれるので、必要な労働投下が少なくて済む。AIの性能が上がれば上がるほど、AIに対する資本投下だけで経済は回るようになってくるはずだ。つまり企業にとって多くの労働者は必要なくなってしまう。AIで仕事が奪われるという話を最近よく耳にするようになったが、理屈の上ではAIが普及すると、同じ経済を維持するために必要な労働者の数は減少する。

 例えば営業の現場を考えてみよう。企業の中には営業管理システムを導入しているところもあるが、多くが営業マンのスケジュール管理や提案の進捗管理といった利用にとどまっている可能性が高い。こうした営業管理システムにAIが導入されれば、システムが営業の進捗状況を把握し、営業マンに対して支援を行うようになる。A社ついては、訪問回数が多い割に進捗が悪いので、新規開拓に時間を割いた方がよい――など、かなり具体的な指示をシステムが出してくるようになるはずだ。その組織が同じ業績を維持するために必要な営業マンの数は以前より少なくて済む。

photo AIに対する資本投下だけで経済は回るようになる

 米国では既に現場への導入が進んでいるが、あらゆる文書(資料)作成もAIがサポートしてくれるようになるだろう。

 必要な資料をランダムにシステムに読み込ませるとAIが内容を理解し、勝手にタグ付けや分類などを行ってくれる。パンフレットを作りたいと指示を出せば、必要な資料をシステム側がそろえてくれるという仕組みだ。パンフレットをそのまま完成させてくれるほど現在のAIは賢くないが、作成する資料のラフ原稿くらいまでAIが作成するようになるのは時間の問題である。ここでも必要な管理部門の社員数は以前より減少することになるだろう。

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