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» 2016年12月02日 11時40分 公開

「同じ便か違う便か」サッカーチームの悲劇赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)

[臼北信行,ITmedia]

原則としてチーム便で移動

 ネット上の意見の中には「やはりチームが全員一緒に移動するのではなく、目的地には分散して移動したほうがいい」とバラバラでの移動を勧める意見も数多く目にした。これは万が一のときのことを考え、同じ便に全員が乗るリスクを減らすための手段だ。実際に昔は飛行機を使う場合、監督、首脳陣、選手、スタッフらの全メンバーがチーム便でまとまって移動すること自体が世界を見渡しても珍しかった。まだ「飛行機は何となく危ない」という根拠のないイメージがまとわりついていた時代で、それが背景としてあったころの話だ。

 ところが最近は航空の安全性が保たれ、サービス面も飛躍的に高まっていることもあって時間別にバラバラで移動するケースがほぼなくなり、チーム全体で同便に同乗する流れが今や当たり前になった。

 だから近年は日本のプロ野球12球団、そしてサッカーのJリーグ各クラブチームも遠征地へ移動する時は原則として同じチーム便(一般客も利用する旅客機に同乗することが大半。チャーター機は滅多なことでもない限り、利用しない)になるべく乗らなければいけないというルールをほぼ貫いているのである。

 確かにシャペコエンセのようにチーム便が事故にあってしまい、チームの主力メンバーの大半を失ってしまうという大きなリスクを回避することを考えると、バラバラで移動するほうがいいに決まっている。しかしながら、そんな万が一のことばかりを考えていたら、そのチームはチーム便移動のメリットを生かせなくなってしまう。

 米国の中でもMLBやNBA、NFL、NHLの米4大プロスポーツリーグに所属する大半のチームが専用機を所有しているが、「シャペコエンセの悲劇を繰り返さないためにも、同じ機で移動しないほうがいいのでは」との論争が起きているようだ。だが、米スポーツ専門局「ESPN」で放送された番組「スポーツセンター」の中で、アンカーの1人が今回のシャペコエンセの悲劇に関連し、次のようなことを述べていた。

 「チーム便に乗ることで全選手やスタッフ、首脳陣、監督がお互いに意見交換ができる。そして重要な試合を迎える前にチーム便に全選手が同乗することはチーム全体の団結力を高め、ひいては各々の闘争心を点火させるきっかけにもつながる。何より同じ飛行機で移動することは時間的な短縮にもつながる。だからシャペコエンセの面々は本当に気の毒なことになってしまったが、チャーター機を手配してチーム便で移動したことはプロスポーツチームならば当然の選択だったと思う。ましてや大きな大会に参加する直前に乗ったチャーター機なのだ。

 あの機内の中でシャペコエンセの面々は間違いなく誰もが『これから決勝に臨むんだ』という思いを互いに巡らせ、これからピッチに立つことばかりを考えながら一致団結していただろう。きっと有意義な時間を過ごしていたはずだ。あの悪夢の事故が起こる直前までは少なくとも……。1つ言えることは、あの悪夢は誰も予想できなかったことだったのだ。ゆえに繰り返すが、彼らがチャーター機を手配し、同じ便で決勝の地に向かおうとしたことは間違いではない」

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