日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」に迫っていきたい。
先週、消費者庁が三菱自動車に課徴金4億8000万円を納付させる方針を固めたという報道があった。2016年4月に発覚した燃費データ不正問題が、景品表示法違反にあたると判断したという(関連記事)。
「あれ? 自動車といえば、国交省が管轄じゃなかったっけ?」と首を傾げる方も多いかもしれないが、実は今回のような不正を取り締まる法律がない。つまり、国交省は三菱自やスズキになにも行政処分ができないのだ。
とはいえ、あれだけ世間を騒がせてお咎(とが)めなしというわけにはいかない。そこで、今回の不正を、景品表示法における、商品の質が実際より著しく良いと消費者を誤解させる「優良誤認表示」だと解釈した、らしい。
確かに、三菱自の不祥事は過去2度の「リコール隠し」から数えて3度目。ホトケの顔も3度まで、ではないが消費者の怒りもピークに達している。韓国社会のように「世論」を忖度(そんたく)すれば、多少苦しい解釈でも、きつーいお灸をすえなくてはいけない、というのはよく分かる。
ただ、もし報道が事実ならば、ツッコミどころ満載というか、かなりモヤモヤしたものが残る処分になってしまうのではと心配している。
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