知られざる“地上パイロット”の調整力に仰天水曜インタビュー劇場(物怖じしない公演)(1/7 ページ)

» 2017年03月01日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 航空会社でどのような人が働いている? このように聞かれると「パイロット」「CA(キャビンアテンダント)」「整備士」といった職業を想像すると思うが、“地上のパイロット”と呼ばれている人たちがいることをご存じだろうか。正式名は「運航管理者(英語でディスパッチャー)」。飛行機が目的地にたどり着くために、「飛行計画(フライトプラン)」を作成しているのだ。

 ところで飛行計画とは何か。飛行機がどの経路を飛べば揺れが少ないのか。燃料はどのくらい搭載するのがいいのか。運航管理者はさまざまな情報を集めて、パイロットに「このルートで飛んでください。燃料はこれくらいで」と指示しているわけだが、個人的に気になったことがある。運航管理者はパイロットではないので、飛行機を操縦したことがない。そんな素人的な人なのに(失礼)、その道のプロに「ああだ、こうだ」と言って、彼らから「むっ」とされないのだろうか。

 そのような疑問を、JALで運航管理者として活躍されている鈴木慎吾さんに聞いたところ「2人とも大人なので、子どものようなケンカにはなりませんが、飛行計画について、意見が食い違うことがあります」とのこと。パイロットといえば、何年も訓練して、何百、何千時間も飛んでいて、英語もペラペラで(←関係ない)……そんな人に対して、運航管理者はどのように説得しているのだろうか。

 もうひとつ、気になることがある。映画やドラマなどで「パイロットと管制官が会話をしている」シーンを見たことがあると思うが、そのとき……いや、正確に言うと、その前に運航管理者は何をしているのか。話を聞いたところ、映画やドラマの制作チームは視聴者に分かりやすく伝えるために、ある“編集”を施していることが分かった。

 これまであまり表舞台に立ってこなかった運航管理者は、パイロットとどのような最善策を図っているのか。また、パイロットと管制官が話しているシーンの裏にどんなことが隠されているのか。鈴木さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

運航管理者はパイロットとどのような最善策を図っているのか
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