京成電鉄に学ぶ、課題解決の方法要点を押さえる(1/3 ページ)

» 2017年04月04日 08時04分 公開
[小林拓矢ITmedia]
2010年に成田スカイアクセス線が開業した

 京成押上線に乗り、青砥駅で下車してみると、気付くのはホームの位置がやたらと高いことである。その理由は、さまざまな方向からやってきた列車をそれぞれの方向へと再編成することである。京成上野からやってきた路線と、押上から(都営地下鉄浅草線から)やってきた路線とがここで合流する。

 その際に、下り線の処理を3階に、上り線の処理を2階にというふうに振り分けた。そしてここから京成高砂までの複々線を利用して、北総鉄道や成田スカイアクセス線に行くものと京成本線に行くものとをわける。重層高架を使用した、見事な列車さばきである。工事は1986年に竣工し、それ以前からもホームは使われていた。

 京成高砂駅では、方向別に処理された列車をそれぞれの路線に送り出し、あるいは北総鉄道や成田スカイアクセス線、京成本線からやってくる列車を青砥までの間にそれぞれの方向に行くように整える。

 青砥駅の重層高架と、青砥から京成高砂までの複々線。これがあるから、京成は東京方の2つの方向、あるいは成田空港方の2つの方向に向けた路線を整理できる。

 JR各線の沿線の人から見ると、複々線はここだけ? と思うかもしれない。確かにそうだろう。近くを走っている総武線は、都心から千葉まで延々と複々線なのだから。だがここだけを複々線にすることで、京成は持てる力を最大限に発揮しているのだ。

京成電鉄の路線図(出典:京成電鉄)
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