大阪・新今宮エリアでのホテル開発計画が話題になっている星野リゾートが4月4日、定例プレス発表会を開催した。その中で同社の星野佳路社長は都市観光ホテルに注力する背景と具体的な取り組みを説明した。
星野社長は今後も都市観光市場が伸びていくことを強調する一方で、星野リゾートは現在、ビジネスホテルやシティホテルに顧客を奪われていると指摘。観光庁宿泊旅行統計調査(2016年度)を基に同社が作成したデータによると、ビジネスホテルに宿泊する人の割合が41.9%、シティホテルが15.7%と、大半はアクセスの良い駅前などのこうしたホテルに宿泊することが分かった。しかもこのうち4〜5割が観光客であるという。
「年間140〜50万人の観光客が星野リゾートの施設を利用しているが、都市部には宿泊拠点がないため、顧客にサービスを提供できていなかった。こうした状況は放置できないと思ったのが都市観光に参入するきっかけになった」(星野社長)
一方で、ビジネスホテルに泊まる観光客も心底満足してるわけではないようだ。立地が便利で予算面でも納得感があるものの、旅行に対するテンションはどうしても下がってしまうという声が少なくないという。
そこで都市部にあるホテルを観光客用に変えようと星野リゾートは乗り出した。さらに都市観光ホテルを、同社の施設ブランドである「界」「星のや」「リゾナーレ」に続く、第4のブランドに育てたい考えだ。
その第一号案件として2017年4月1日から運営するのが北海道旭川市の「旭川グランドホテル」だ。星野社長曰く「典型的な地方ホテル」。JR旭川駅から徒歩13分の場所にある同ホテルは237の客室のほか、宴会場、レストラン、ブライダル会場を設ける。実はこれが課題で、各事業に外部の競合が存在する。例えば、宿泊であれば東横インやJRインなど、レストランであれば大黒屋などが近隣にあり、競争に負けている面もあるという。「これらの事業がスクラムを組み、宿泊者ファーストで、ホテル内で旅のテンションを上げる取り組みをしなければならない」と星野社長は力を込める。
こうした現状を踏まえ、旭川グランドホテルが目指すべき方向性を明確化するために、さまざまな役割を担うスタッフが参加する「コンセプト委員会」を発足。ここでのさまざまな議論を経て、今年10月にコンセプトを発表する予定である。
旭川グランドホテルの取り組みで得たノウハウや知見を、2022年開業予定の新今宮駅前の都市観光ホテルにも反映させる方針だ。
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