会議時間を27%短縮 無駄な時間の削減、AIが手助けマイクロソフトの働き方改革

» 2017年04月19日 12時06分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 「その会議、義理で招待されていませんか? Aさん主催の会議で他の作業をすることが多いです」「先週は、自分が主催する会議中に頻繁にメールをしていました。集中力を維持しましょう」――。日本マイクロソフトは、人工知能(AI)が社員の業務内容を分析し、こうしたアドバイスを行う仕組みを導入している。

photo 取り組みについて話す平野拓也社長

 同社が使用しているのは、AIを導入した「MyAnalytics(マイアナリティクス)」と呼ぶ分析ツール。社員のスケジュールと、PC上の業務用ツールの使用状況を照合することで、会議に要する時間、メールを打っている時間、集中して作業している時間、残業時間など、社員の時間の使い方を可視化できる。(関連記事

 社員のデータは相互に連携しているため、共同作業時間が長い人を一覧で表示することも可能。特定の社員と会議で同席することが多い場合は、「29%の会議がBさんと一緒でした。分担することで、両方の予定表に余裕ができます」など、個別の出席を呼びかけ、負担の軽減を図る。

photo MyAnalyticsの画面

 送信した社内メールの開封状況を分析できる点も、MyAnalyticsの大きな特徴だ。受け手が返信に要した時間に加え、「一瞥(いちべつ)」「拾い読み」「既読」など、メールの読み方をグラフ化して表示する。ユーザーは結果を踏まえ、受け手が読みやすいよう文面を工夫することで、コミュニケーションの円滑化につなげられるという。

 MyAnalyticsの効果を検証するため、人事・ファイナンス・マーケティング・営業の4部門において、2016年12月から今月にかけてユーザーの働き方を調査。その結果、会議時間が27%短縮し、個人が集中して作業する時間は50%増加していた。4部署合計では、3579時間もの労働時間を削減できたという。

photo 検証実験の結果

 同社の平野拓也社長は、「今後は、単に働き方を改革するのではなく、働き方を改革した上で何をするかが重要。空いた時間を効率よく活用して、インパクトのあるビジネスを生み出していきたい」と話す。「働き方改革には、社内のカルチャー作りが重要。今後も継続した取り組みを行っていく」という。

他社へのノウハウ提供を積極化

 同社はこのほか、「Office 365」と連携することで情報共有の利便性を高めたチャットツールの「Microsoft Teams」を社内に導入。音声通話サービス「Skype」を活用した遠隔地との対話に特化した会議室や、タッチパネル付きのモニターを備えたミーティングスペース「Surface Hub」の設置も進め、働く環境の整備を積極的に行っている。

photo Skype会議室の様子。テレビ電話での会議が可能だ

 さらに、今年7月からは、賛同法人を募り、同社の働き方改革に関するノウハウや関連製品に関する情報提供を行う取り組み「日本マイクロソフト 働き方改革ムーブメント」を開始し、他社への啓蒙(けいもう)活動も積極的に行っていくという。政府が提唱する「テレワークデイ・月間」、東京都の「TOKYO働き方改革宣言企業」など、公的な取り組みへの参画も決定している。

photo Surface Hubの様子。タッチパネルが便利だ

 平野社長は今後の展望について、「企業、政府、自治体と協力して、働き方改革市場全体を盛り上げていきたい」と話している。

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