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» 2017年04月22日 08時00分 UPDATE

繁盛店から読み解くマーケティングトレンド:ギンザ シックスが「規格外」である理由 (4/4)

[岩崎剛幸,ITmedia]
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ギンザ シックスの驚愕と不意打ちは?

 これまでの銀座は三越や和光のある銀座4丁目を中心に顧客の回遊性ができ上がっていました。しかし銀座6丁目にできたギンザ シックスによってその流れは大きく変わる可能性があります。回遊するエリアが広がるということです。

 銀座エリアはそこにある大型店のターゲットによって、回遊する顧客たちの年齢がある程度グルーピングされています。

銀座エリアの大型店 メインターゲットの違い 銀座エリアの大型店 メインターゲットの違い

 今回できたギンザ シックスはターゲットを設定しているわけではありませんが、出店しているブランドや施設環境などから筆者が設定すると、メインターゲットは30〜60代になります。他の施設と比較すると分かりますが、銀座エリアを包み込むことができる施設なのです。これを「包み込み戦略」と言います。このような包み込み型の施設ができると、この施設を中心に街の回遊ができ上がります。

 これまでは有楽町と銀座4丁目を中心に人が回遊していたのが、今後は、ギンザ シックスのある6丁目から4丁目、有楽町へと人が流れるように変わっていくかもしれません。これは銀座の商業地としての価値を考えるとプラスの効果をもたらすはずです。これまで中心でなかった街区に人が集まるようになり、銀座に來街したことがなかった客層が増え、街の集客力が上がっていくことが予想されます。

 2020年に向けて銀座が“GINZA”として世界を代表する都市となり、再び魅力ある街として認知されるきっかけとなるかもしれません。

 フランス・パリに「ボン・マルシェ」という百貨店があります。今から150年ほど前に世界で初めてデパートという業態を作ったのが、パリに住む天才商人、ブシコーとその妻でした。そこで作った百貨店がボン・マルシェです。

 彼らが百貨店で表現したのは次の2点だけでした。

驚愕

不意打ち

 驚愕(驚き)と不意打ち。顧客のバランスをいかに崩し、顧客のアタマの中に混沌としたカオスを創り出すかということだけに全精力を傾けたのです。そして、そこにすべての資本を注ぎ込んだのです。効率とは無縁の世界、まさに非効率の極みが百貨店という業態だったことが分かります。

 ギンザ シックスはある意味で、百貨店という業態が提供していた価値、顧客に感動を与えていたころの原点を意識して作り上げた店と言えるかもしれません。

 ギンザ シックスの作ろうとしている驚愕と不意打ちとはどんなものなのか。ビジネスパーソンの皆さんも実際に同店を訪れて新しい商売のあり方、繁盛店のあり方を考えてみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

株式会社 船井総合研究所 上席コンサルタント兼ブランドプロデューサー

1969年、静岡市生まれ。ファッションを専門分野とした流通小売業界のコンサルティングのスペシャリスト。百貨店の営業戦略および全社MD戦略立案、GMSの売場再構築、大手メーカーの新規ブランド開発、SPA型小売業の事業戦略策定、中小専門店の現場支援コンサルティングなどを通じ、各業界で注目を集めるグレートカンパニーを数多く輩出させている。街歩きと店歩きによる消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。

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