提訴がダメなら「くら寿司」はどうすればよかったかスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2017年04月25日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「発表している内容が全てです」と回答

 日本マクドナルドをつくった藤田田氏は、「ライバルは大阪の回転寿司チェーン」(飲食店経営 2001年11月号)と述べて、1977年に創業して成長を続けてきた「くらコーポレション」を評価していたという。

 確かに、添加物はさておき、寿司キャップ「鮮度くん」やICタグでの品質管理など「くら寿司」はその際立った先進性で業界をリードしてきた。ファストフードやファミレスと肩を並べるようにした功労者であることは疑いようがない。

 だったら、回転寿司で初めて「消費者に徹底的に情報を開示する」という先進的な取り組みをしてみてもいいのではないだろうか。

 確かに毅然とした態度で守られる「名誉」もあるが、「ライバル」のマクドナルドのように愚直なまでに消費者に情報をさらけ出すことで生まれる「信頼」もあるのだ。

 今回の騒動を受けてJ-CASTニュースの取材に対して、「くらコーポレーション」は「発表している内容が全てです」と回答した。しかし、本当にその「内容」で消費者の共感が得られるのか、伝えようという努力をしているのか、を考えてみてはいかがだろうか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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