トヨタ、2期連続減益予想 研究開発費1兆円超は維持主力市場で販売減見込む(1/2 ページ)

» 2017年05月10日 20時30分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 トヨタ自動車が5月10日に発表した2017年3月期連結営業利益は、前期比30.1%減の1兆9943億円だった。日本やアジアを中心に販売台数を伸ばしたが、円高や米国の販売費増加などが響いた。18年3月期は販売台数の減少や原材料費の増加などを見込んでおり、2期連続の減収減益となる見通し。原価改善など競争力強化の取り組みを加速し、回復を目指す。

photo 今期米国で発売する主力セダンの新型「カムリ」

新型車が好調、収益確保は苦戦

 17年3月期の売上高は2.8%減の27兆5971億円、純利益は20.8%減の1兆8311億円だった。グループ総販売台数は1.6%増の1025万1000台。日本や東南アジア、欧州で投入した新型車が好調に推移し、原油安で需要が低迷する中近東の落ち込みをカバーした。

 販売は増えたものの、収益確保には苦戦。日本では「プリウス」「ルーミー・タンク」「C-HR」といった新型車がけん引し、連結販売台数を10.4%伸ばしたが、為替変動の影響や経費の増加で利益を減らした。

 海外では、北米の販売は前期並みだったが、販売店に対するインセンティブ(販売奨励金)の増加などの費用が負担に。欧州はC-HR、「RAV4」が好調だったものの、現地通貨安の影響などにより営業赤字に陥った。アジアでは、インドネシアで「CALYA」「シエンタ」「IMV」が販売を伸ばしたが、中近東向け輸出の減少などにより、減益だった。

投資は高水準を維持

photo 今期の経営方針を語る豊田章男社長

 18年3月期の業績予想は、売上高が前期比0.4%減の27兆5000億円、営業利益が19.8%減の1兆6000億円、純利益は18.1%減の1兆5000億円。グループ総販売台数はほぼ横ばいの1025万台を計画している。アジアなどで増加を見込むが、新車効果が一巡した日本や、販売環境が厳しい北米で減少する見通し。

 営業利益の減益要因は、北米や日本の販売減少、北米の販売費増加など、販売面の影響が大きいと予想。為替レートを前期よりも米ドルで3円円高に設定したことから、為替の影響も織り込んだ。原価改善の効果も見込むものの、原材料価格高騰によるコスト増を織り込み、増益効果は小幅にとどまる見通しだ。

 減収減益の局面でも、投資規模は高水準を維持していく。研究開発費は4期連続の1兆円超え、設備投資も増額し1兆3000億円とする計画だ。豊田章男社長は「目先の利益確保を最優先するのではなく、未来への投資も安定的、継続的に進めていくという意思が表れた決算」と語った。

 会見した豊田社長と永田理副社長の主な発言は次の通り。

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