「IQOS」がLINEと提携 盛り上がる加熱式たばこ市場紙巻きから100万人切り替え

» 2017年06月08日 18時21分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 加熱式たばこ「IQOS」(アイコス)を展開するフィリップモリスジャパン(PM)は6月8日、LINEと提携し、プロモーションにLINEを活用すると発表した。加熱式たばこは国内市場で人気が高まっており、参入企業も相次ぐ。PMは、日本で利用率の高いLINEからアイコスの情報にアクセスできるようにし、ユーザーとのコミュニケーションを活発化させていく狙いだ。

「IQOS」(アイコス)を展開するフィリップモリスジャパンがLINEと提携

 PMは国内たばこ市場で2位。アイコスはたばこの葉が詰まった「ヒートスティック」を専用デバイスにセットし、加熱してたばこを楽しめる仕組みだ。15年から日本全国で販売している。

 「紙巻きたばこと比べても味がよい」「煙が出ないので非喫煙者の前でも楽しめる」といった点が支持され、紙巻きたばこからアイコスに切り替えた日本の成人喫煙者の数は100万人を超えているという。デバイスやスティックが品薄状態になるなど、人気も過熱している。

 提携では、「LINEビジネスコネクト」を活用。LINEのトーク画面で(1)GPS機能などを使い、アイコスが利用できる「アイコススポット」を検索する、(2)ヒートスティックのパッケージに印字してあるパックコードを入力し、懸賞に応募する、(3)ポイントサービス「コインズ」をためてクーポンを利用する、(4)各ポイントを確認する――などが利用できる。

LINEのトーク画面からユーザー用ページを利用できる
「アイコススポット」の検索も

 免許証や健康保険証などをLINE上で読み込むことで、確実かつ迅速な年齢認証も可能にする。オペレーターとLINEのトークで会話ができる、より身近なサポートも行うという。オリジナルのケースなどをデザインできるプログラム「mIQOS(マイコス)」にもアクセスできる。

 LINEとの取り組みについて、PMのポール・ライリー社長は、「アイコスの利用者が増えていく中、どうすれば今よりももっとユーザーに良い体験を提供できるかと考えた。そこで、ユーザーにとって最適なコミュニケーション体験を提供しており、ユーザーと1対1でコミュニケーションができるプラットフォームであるLINEとの提携を行うことにした。さまざまな新サービスを展開したい」と展望を語る。

 LINEの田端信太郎上級執行役員は「アイコスは近年で最もヒットしたモバイルデバイスであり、革新的なコンセプトが埋め込まれている。LINEの企業理念『Closing the distance』のように、アイコスとアイコスオーナーとの距離を縮めていければ。PMとの取り組みでベストプラクティスを作っていきたい」と述べた。

 現在、PMは加熱式たばこでは業界トップ。たばこ業界全体でのシェアは約9.6%で、16年9月以降成長は加速しているという。

 一方、日本たばこ産業(JT)と英British American Tobaccoも加熱式たばこの展開を計画しており、市場にプレイヤーが増えようとしている。ライリー社長は「競合が参入することで加熱式たばこの知名度が上がる。加熱式たばこに切り替えていない88%のユーザーに認知してもらえるメリットを享受できる。日本市場の潜在能力は高い」と期待を寄せた。

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