「広告界をリードする」 電通・楽天タッグの戦略とはテレビCMの効果を分析

» 2017年07月27日 10時58分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 「10年後には日本の広告界をリードするような会社になっているだろう」――楽天の三木谷浩史社長がそう語るJV(ジョイントベンチャー)が誕生した。

 その会社とは、楽天と電通が共同出資して立ち上げる「楽天データマーケティング」。楽天が持つ「楽天会員」の9000万人の顧客基盤や、インターネット通販(EC)サイト「楽天市場」で取得した購買データなどのビッグデータと、電通の強力なマーケティング力を組み合わせた法人向けマーケティングサービスを展開していく。設立は8月中旬、営業開始は10月を予定している。(関連記事

 楽天データマーケティングの社長には、ヤフーやGoogle日本法人で要職を歴任した、楽天副社長執行役員の有馬誠氏が就任する。

photo 楽天データマーケティングの有馬誠新社長

 有馬氏は「新会社での取り組みは、私がこれまでのキャリアで取り組んできたデジタルマーケティングの総仕上げと考えている。テレビを中心としたマスメディアに強い電通と楽天のビッグデータを融合させ、新しいマーケティング手法を生み出したい」と意気込む。

photo 楽天データマーケティングのロゴ

 新会社は今後、楽天市場での企業向けのブランドタイアップ企画、ビッグデータを活用した顧客分析に基づいた広告商品の開発、顧客のブランド戦略の支援などを手掛けていく予定だ。

photo 楽天の三木谷浩史社長=左、楽天データマーケティングの有馬誠社長=中央、電通の榑谷典洋執行役員=右

 中でも、新会社が注力分野に位置付けているのが、テレビのコマーシャル(CM)効果の検証だ。近年主流になりつつある“インターネットにつながるテレビ”の利用者を対象に、視聴率や視聴履歴などのデータを取得。顧客企業が放映したCMの視聴者の特性や行動を詳細に分析するサービスで、視聴者が楽天会員である場合はCMを見た後の購買行動も分析可能。放映したCMが商品の購入につながったのかを検証するという。

 検証結果を踏まえ、PDCAサイクルを継続的に回すことで、CMの訴求力向上につなげるとしている。

 電通の榑谷(くれたに)典洋執行役員は「質・量ともに日本トップクラスのデータを有する楽天と手を組んだことで、電通の弱点だったデータ基盤を補完できた。新会社では、『顧客が動いてくれない』『商品が売れない』というクライアントの悩みを解消できるようなソリューションを提供したい」と展望を話す。

photo 楽天データマーケティングのビジネスモデルのイメージ

 有馬社長は「CM効果検証サービスの正確性には自信を持っている。楽天市場に出店している顧客は中小企業が多いが、新会社では大手メーカーとのつながりを強化するなど、さらなる顧客基盤の拡大にも取り組んでいきたい」と話している。

photo 楽天データマーケティングの概要

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