アサヒグループ食品は8月8日、新ブランド「バランス献立」シリーズを9月1日から展開すると発表した。高まる在宅介護のニーズに応え、2020年までにシニア向け食品事業の売り上げを50億円規模に育てるとしている。
グループ傘下の和光堂(現・アサヒグループ食品)が展開していたシニア向けレトルト食品(介護食)を、アサヒブランドとしてリニューアルする。商品ラインアップは、雑炊や肉じゃが、シチューなど全33品(税別180円)。
和光堂がベビーフード事業で培った製造技術を応用し、顎の力が弱くても食べやすい商品を用意した。パッケージデザインは、「容易にかめる」「歯茎でつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4タイプを色別に分類し、選びやすくした。
同社の河本拓也 和光堂事業本部マーケティング部長は「介護食市場は今後も伸びると予測されているが、介護食というジャンル自体の認知度が低いのが現状。今後は販促プロモーションに積極的に投資したい」と説明する。
同社の調査によると、同居の要介護者がいる人の中でも介護食の認知度は26.5%、購入経験がある人は15.1%にとどまっている。知名度の高いアサヒブランドとして訴求することや、1万人規模のサンプリングを実施するなど、販促面を強化することで、売り上げ規模を拡大させたい考えだ。
また同時に、口腔ケアの新商品「うるおいキャンディ」を発売する。「口腔ケアによって唾液腺の機能を高め、誤嚥(ごえん)をなくすことで、日本人の死因第3位である肺炎を予防することができる」(同社)として、口腔ケア商品の市場を開拓したい考えだ。
シニア向けの食品市場は年々拡大しており、同社のシニア向け食品事業も11年以来、2桁増を続けている(16年は前年比11%増)。
同社の尚山勝男社長は「現在、当社のシニア向け食品事業の年間売り上げは14億円だが、介護食や口腔ケア商品に力を入れることで、20年までに50億円を目指したい」と意気込む。
「25年には65歳以上の人口が全体の30%を占め、団塊の世代の全ての人が75歳以上となる。介護の需要はますます増え、さまざまな問題が浮き彫りになる。食事の問題もその1つ。先進国の中で、日本が最初に直面するこの社会課題に食事の面でアプローチしたい」(尚山社長)
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