自分の価値を取引する「VALU」の存在価値は?“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)

» 2017年08月10日 06時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]
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最終的には市場が判断する

 前述したように、「人気投票」の結果が金銭価値として換算されるのがVALUの特徴だ。実際、VALUには、ホリエモンなどの著名人が株式を上場している。ホリエモンはリアルな世界でも圧倒的な知名度を持つ人物だが、彼を除くと、いわゆるネット上の有名人が自身の株式を上場させていると見てよい。

 ちなみに、ホリエモンには約31億円、ブロガーのイケダハヤト氏には約44億円の時価総額が付いている。イケダ氏は自身の持ち株を少しだけ売却し、わずか3日間で1000万円を手に入れたとブログで明かしている。

 確かにVALUでは利益還元が約束されているわけではないが、お金に対する人の価値観はさまざまである。個人を応援したいという理由だけで株価が維持される世界があってもよいだろう。ただ、こうした市場には、モラルに欠ける利用者が出てきやすいのも事実である。

 著名人が自身の知名度を利用して株式を売り出し、自身の株価をつり上げるため、相場操縦のようなことをする人も出てくるかもしれない。

 もし、このサービスに存在価値があるなら、紆余曲折を経たとしても、不正利用は淘汰(とうた)され、最終的には健全な形で生き残るはずだ。逆に、サービスに本質的な価値がなければ、いずれ利用者は離れていくだろう。

 こうした新しいサービスが出てきた時には、慎重に対処しつつも、決して否定せず、一方で過度な期待は抱かないのが正しい作法である。VALUの存在価値はこれから市場が明らかしていく。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。

 著書に「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。


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