弱過ぎる東京ヤクルトスワローズは「上」もボロボロ赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)

» 2017年08月17日 12時30分 公開
[臼北信行ITmedia]

手をこまねいているヤクルト球団

 普通ならばフロントはこれだけの低迷地獄にはまり込む前に何らかの手を打つ。ところがヤクルトの場合は目に見えるようなカンフル剤を打たなかった。いや「打てなかった」と言う方が、むしろ正解かもしれない。すでにチームが低迷していた6月末の臨時株主総会と取締役会で堀澄也オーナーが相談役名誉会長に就き、代わって新オーナーにヤクルト本社の根岸孝成社長兼最高執行責任者が就任。本社人事に伴うトップの交代でチーム再浮上につながる何らかの抜本的な解決策が施行されるかとも思われたが結局、ヤクルトファンを納得させるような具体案は示されないまま今に至っている。

 本来ならば真っ先にケガ人続出を招く原因を突き止め、これ以上の離脱者を未然に防がなければならない。ところが球団幹部は「チーム内のコンディショニングサポートグループの体制を再整備し直し、所属選手のコンディションについて連携して情報を共有できるようにしていく」と抱負を述べているだけで、その中身は不透明。これほど曖昧では本当に再整備できているのかも怪しい限りだ。球団関係者もフロントを含めたヤクルト本社の内情について、次のようにいぶかしむ。

 「オーナーの交代は今年5月上旬の早い段階から決まっていた。とはいえ就任早々のオーナーがすぐさま低迷するチームにメスを入れるべく選手の大型補強、そしてコーチ陣の配置転換や懸案とされるコンディショニングスタッフのテコ入れを行うなど、大掛かりなメスを入れるための作業に対し、球団最高責任者として最終的なゴーサインを出すことは難しい側面もある。いきなり動いて失敗すれば、それこそ新体制になったばかりなのに責任を問われてしまう危険性にもつながってしまいかねない。だから新オーナーを含めた球団側は、そこを恐れてカンフル剤を打てなかったのではないか。何よりもチームの運営予算が他球団よりもさらに限られていることで、いろいろと動こうにも動けなかったのは事実だ」。

 チーム低迷に一刻も早く手を打つことよりも、まずは新体制の盤石化を図ろうとしていたとすれば、実に恥ずかしい話だ。だが、やはり前出のヤクルト本社・臨時株主総会と取締役会で球団幹部らが報道陣から再建ビジョンについて問われ、まるで雲をつかむような要領を得ない答えばかりをそろって口にしていたのはチームよりも我が身のことばかり重んじる姿勢の表れだったような気がしてならない。結果としてチームは今も最下位地獄に沈みながら光すら見えていないのだから、新オーナーを含めたヤクルト本社幹部および球団幹部は反論できる資格はないと思う。

photo 2017年8月16日試合終了時点のセ・リーグ順位表。5位の中日ドラゴンズからも11ゲーム差で引き離されている(出典:東京ヤクルトスワローズ公式Webサイト)

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