テレビやラジオで放送されたものを国民共有の財産ととらえる米国、英国、仏国などの諸外国では、調査・研究のためにわりと当たり前のように放送アーカイブ施設は運営されているが、どこの国も「検閲だ」なんて問題になっていない。70年前にGHQに事後検閲されたトラウマにしても、ここまでムキになると、よほど後で検証されたら困る放送内容なのかと思ってしまう。
なぜテレビ業界はそこまでアーカイブ施設を恐れるのか。
筆者はジャーナリストというご立派な身分ではないが、ここからは思いっきり「勘」で話をさせてもらうと、「ブーメラン報道」という批判を回避するためではないのか、という気がしている。
アーカイブ施設ができると、報道番組に出演するジャーナリストやコメンテーターたちが生放送の番組で話をしていることを、すべての人が確認・検証できてしまう。それらは勘に基づいているので、思いっ切り主観的な意見や、我が身を省みないような発言もあるだろう。
つまり、放送アーカイブ施設はテレビをネット世界のように、個人が検証できるように変えてしまうものなのだ。
そうなると、今の朝日や中日のように、勘で述べたような社説まで多くのネットユーザーから徹底的に検証され、ブーメラン報道が浮かび上がってしまう。
これはオンタイムに好き勝手なことを言うという「タレ流し」が許されてきたテレビジャーナリズムにとって、その特権を根底から揺るがすような大きな変化であることは言うまでもない。だから、必死になって阻止をしているのではないか。
いずれにせよ、ジャーナリストという人々がもつ構造的な問題である以上、マスゴミのブーメランがこれからも続発していくのは、間違いない。
この大きな流れは、大手マスコミでは太刀打ちできないだろう。組織が大きくなればなるほど、主張していることと、その立ち振る舞いに矛盾が生じるからだ。
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