そもそもハリルホジッチ監督には今回の本田の代表招集に関しても、不可解なところがあった。所属クラブでの出場機会が少ない状況だったにもかかわらず本田を招集し、しかもサウジアラビア戦で「限定45分」の起用を試みた点だ。
招集前の時点で本田のレベルが低調と分かっていたのであれば、最初から招へいしなければいい。加えていくらW杯出場を決めた後の消化試合とはいえ、そのような選手の先発出場にゴーサインを出し、前半のみの限定起用とあらかじめ決めておく形を取っていたことにも疑問符が付く。
もしかすると指揮官は本田にこれまでの代表内での貢献度を尊重しつつ、たとえぶっつけ本番でも経験値の高さでカバーしながら何らかのサプライズを与えるような好プレーを見せてくれればいいとイチかバチかの賭けに出ていたのかもしれない。しかしながら、そのバクチは大きく外れてしまった。サウジアラビア戦は本大会へ向けてもっと発展的なゲームプランや仕掛けを試すチャンスでもあったが、前半限定起用の本田のパフォーマンスが余りにも低かったためにそれもご破算になってしまった。
無残な低パフォーマンスに終始したのだから、もうハリルホジッチ監督は本田外しにちゅうちょすることもあるまい。ただ、それでも指揮官が決断に向け、二の足を踏みそうな気配が漂っていることは分かる。日本代表を統括する日本サッカー協会内にスポンサーの顔色をうかがう傾向があるからだ。
何だかんだと言われながらも世間における本田のネームバリューは絶大。実を言えば、日本サッカー協会内部において「スポンサーが集まりやすく知名度の高い本田が代表入りしているか否かで、やはり大きな違いが生まれる」との見立てを口にする関係者は数多い。スポンサーは協会に対して、圧力ともとれる振る舞いをしているのだろうか。
実際に取材を重ねていても日本代表のオフィシャルスポンサーの中で「本田が代表入りしなければウチは降りる」などとエクスキューズを付けている企業の話は聞いたことがないし、たとえ本田抜きでも今やブランド化しているサッカー日本代表に対して新たにスポンサーとして名乗りを上げたい大手クライアントは後を絶たないとも耳にする。
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