J.フロントリテイリング、大丸松坂屋百貨店、パルコは9月14日、2014年に閉館した松坂屋上野店南館(東京都台東区)の跡地に建設中の商業ビル「上野フロンティアタワー」を11月4日にオープンすると発表した。百貨店ではなく、新業態の「PARCO」や映画館「TOHOシネマズ」、オフィスが入居する複合施設として運営する。幅広い層の顧客を呼び込み、地域の活性化につなげる狙いがある。
大丸松坂屋百貨店の好本達也社長は「上野・御徒町エリアを訪れる顧客にとって何が最も必要かを考え、新しい業態にチャレンジした。当社とパルコが連携するのは初のことで、上野の当社施設内に映画館が入居するのは約60年ぶり。街の賑わいに不可欠な施設を整えることで多くの人を呼び込みたい」と話す。
上野フロンティアタワーは敷地面積約5800平方メートルに地上23階・地下2階、延べ床面積は約4万1000平方メートル。
地下1階には松坂屋上野店が入居し、街歩き向けの婦人靴約60ブランドを展開。中央部には、上野の観光スポットや土産物を紹介する案内所「上野が、すき。ステーション」を配置し、観光客や訪日外国人向けに情報発信を行う。
1〜6階には、パルコが運営する商業施設「PARCO_ya(パルコヤ)」が出店。同社の東京23区内への新店舗出店は44年ぶりで、東東京エリアへの進出は初。屋号に含まれる「ya」は「yet another(=もう一つの)」の略で、従来型のPARCOとは新しいコンセプトで運営していくことを意味しているという。
PARCO_yaのコンセプトは「ともだちを誘いたくなる、ちょっとおしゃれな おとなのたまり場」。30〜50代の団塊ジュニア世代が主なターゲットで、銀座・丸の内・日本橋に流出している近隣居住者やビジネスパーソンの獲得を図っていく。週末には観光客や家族連れの来店も見込む。
入居するテナントは、アパレル・化粧品・レストランなど計68店舗。うち上野・御徒町エリアに初出店する企業は「アーバン リサーチ」「トミーヒルフィガー」など52店舗で、地元ゆかりのものづくり企業も11店舗含まれる。全テナント合計で年間売上高60億円を目指す。
7〜10階には「TOHOシネマズ」が入居。設備は8スクリーン・1400席と大規模だ。アニメカルチャーの聖地・秋葉原から徒歩圏内ということもあり、アニメファンに人気の作品も放映していくという。
11〜22階にはオフィスが入居する。
J.フロントリテイリングの山本良一社長は「上野フロンティアタワーと松坂屋上野店を含むエリア全体を『シタマチ.フロント』と名付け、街づくりに取り組んでいきたい。近隣住民の皆さんと協力しながら、街の価値を最大化したい」と意気込む。
上野観光連盟の二木忠男会長は「16年に国立西洋美術館が世界文化遺産に登録され、17年は上野動物園でパンダの赤ちゃんが誕生するなど、上野に注目が集まっている。このタイミングで複合施設をオープンする効果が楽しみだ」と話している。
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