中国の新サービス「シェアカー」を使ってみた山谷剛史のミライチャイナ(3/4 ページ)

» 2017年09月29日 07時00分 公開
[山谷剛史ITmedia]

 そうしたプロセスを経てようやく車のドアをアプリで解錠し乗車する。自転車と異なり車は製品毎、モデル毎にインターフェースが異なる。車種によってカーナビがあったりなかったりする。アプリでは利用する車種の説明が書いてあるが、車内に車操作用のマニュアルがなく、あればいいのにとは感じた。

photo 解錠はアプリでというのはかっこよくはあるのだが
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photo 奇瑞EQの説明書を読みながら操作を確認する

 そしていよいよ運転だ。これは車種によって異なるだろうからあくまで奇瑞EQの感想だけ簡単に書くと、ガソリンカーと比べると、乗車した奇瑞のEQという電気自動車(EV)はガソリンカーに比べ明らかなパワー不足。特に加速や登り坂でその差を顕著に感じる。

 電気自動車の問題として、走行可能距離内で走るか、充電スタンドを意識しながら走るかしなければいけない。沿岸部では特に地方政府の方針で積極的にEV用充電スタンドを設置しているものの、内陸部での充電スタンドは期待できない。なんとか都市内と高速道路の充電スタンドで充電しつつ走ることができる程度だ。

photo いろんな障害物に気を付けながら走行した

 今回テストする筆者のいる場所もまた内陸の都市だから、充電スタンドが少ないのが悩ましい。充電スタンドがわかる地図はないかと調べてみたら、大手ポータルの捜狐が出している地図アプリがそうだったが、予想通り少なかった。

現時点ではレンタカーのほうが得?

 さらにシェアカーならではの問題で、前の利用者が自転車同様乗り捨てたことから、乗った後の状態のままなので、窓や鏡が汚く灰皿に灰がたまったまで車内も汚い。フロントガラスやサイドミラーも拭いていないので、視界がよくなく危険な状態にあった。せめて窓拭き用の使い捨ての布は車内に用意してほしいかったがそれもなかった。アプリでの解錠は未来的な側面はあるものの、スマートフォンのバッテリーがなくなったり、携帯電話の電波が届かない場所だと詰むという問題も発生するという現実とも向き合わねばならない。

 シェアカー利用料は、1分1角(1時間で6元=約100円)の時間と、1元1キロの走行距離からの費用を合算した額となる。田舎を走って充電切れとならないよう、50キロほど近郊を走ってみた。バッテリー残量の分だけ走れて最終的に利用者のほうで充電する必要はないので、レンタカーに比べてガソリンスタンドに行って給油する必要がない分安い。しかしトータルコストは、レンタカーもシェアカーもそんなに変わらないので、ならばどこにでも安心していけるガソリンカーを使ったレンタカーの方が現段階では魅力的だ。プラスの点よりもマイナス点が目立った。

photo 最終的な利用価格表示。さらに次回利用割引券もプレゼントされる

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