女性記者の過労死問題で、なぜNHKはウソをついたのかスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2017年10月17日 08時08分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「NHKスペシャル」などで検証を

 佐戸さんのご遺族は「自己検証がされておらず、誰も責任をとっていない」とNHKに不信感を募らせている。

 この2つはマスコミの幹部たちが最も苦手とする分野だ。他人のこととなると、「自己検証せよ」「責任はとれ」と舌鋒鋭く詰めよるが、いざ自分に同じ批判が寄せられると、ムニャムニャと言葉を濁すか逆ギレする。「情報はすみやかに公開せよ」「社会は平等にあるべきだ」とカッコイイことを言いながらも、「ムラ」のなかで特権を得ながらぬくぬく生きてきたという大きな自己矛盾を抱えて長く生きてきたので、そう簡単に「考え方」を改めることができないのだ。

 学生時代から「ジャーナリストになる」とがんばっていた女性が、なぜここまで追いつめられたのか。海外の記者が、夜討ち朝駆けのやりすぎで亡くなりましたなんて話を聞いたことがないように、これが本当にマスコミがやらなくてはいけない「取材」なのか。

 そのあたりがしっかりと「NHKスペシャル」なんかで検証できたとき、日本のマスコミも「クライシス」に立ち向かうことができるのではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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