公共交通ではなくクルマで生活している人が多い地方都市には、終電という意識がほとんどない。かつて筆者は転勤のために和歌山市で生活していた時期がある。そこでは電車を使って通勤している人がほとんどいなかった。夜、飲み会をやるとすれば、当然、タクシーか、運転代行で帰るということになるため(バスは終バスが早いので選択肢に入らない)、終電までといった時間の歯止めはない。夜中になっても移動コストに大きな変化がないため、深夜まで宴会は続き、かみさんの機嫌が悪くなる、という日々を送っていたことを思い出す。実は大都会のほうが夜は早いのである。
クルマ社会の地方では終電の意識がほぼない
製造業を地域の基幹産業とする地方においては、24時間営業はそうした社会環境を背景とした一定の需要を前提としていた。それゆえ、地方の24時間営業スーパーは、地方経済を左右する地域製造業の動向に極めて敏感なアンテナを持っていた。彼らの深夜帯の売り上げは、地域製造業の稼働率と直結していたからである。
各地に製造業が分散したことで、1990年代以降の製造業の国内拠点閉鎖、縮小は、大都市よりも地方に大きなダメージを与えることとなったのだ。今でも記憶に残っているのは、リーマンショックの後、各地のスーパーの深夜帯売り上げが軒並み低迷し、地域を異にする各社が異口同音に、地域の製造業の稼働率低下が原因だと語っていたことである。
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