「マロニーちゃん♪」でおなじみ、マロニーの決算は「NOKIZAL」決算ピックアップ

» 2017年10月19日 06時00分 公開
[NOKIZALITmedia]

 マロニー(大阪府吹田市)が10月12日、官報に掲載した2017年7月期の決算公告によれば、純損益は1億9300万円の赤字(前期は1億2900万円の黒字)、累積の利益・損失の指標となる利益剰余金は16億7100万円だった。

photo マロニーの決算公告=官報より

 マロニーは1950年の創業。ジャガイモやトウモロコシを配合したでんぷん麺「マロニー」などを製造販売している。「マロニー」の名前の由来は「まろやかに煮える」からとも、創業者の吉村義宗氏がシベリア抑留時代の工場で一緒に働いていた明るい少女の愛称「マロン」からとも言われている。

 創業事業は、シベリア抑留生活から解放された吉村氏が学んで始めた、もやし製造業。苦労を重ねがらも新製法を確立したことを機に事業は拡大し、1960年前後には工場設備も当時日本一の生産量を誇った。しかし、原料の緑豆も高騰し始め、今後の事業として考案されたのが従来の緑豆などを原材料とする春雨とは違う“溶けない春雨”の製造販売だった。

 大阪府工業奨励館(現・大阪府立産業技術総合研究所)の協力を得て、試行錯誤の末に完成、1964年に発売した「マロニー」だったが、出荷から1カ月後には全品が返品されるなど、当初の2年間はほとんど売れなかった。しかし、3年目になって調理師学校の教材に採用されると、そこから徐々に知名度を獲得していき、1978年にダイエーとの取引が始まるとさらに販路は拡大、社名も商品名と同じ「マロニー」に変更した。

 そして、1994年の関東への進出を機に、女優の中村玉緒さんを起用したテレビCMやラジオを流すとヒットし、「マロニー」は全国区の商品に。その後は健康食品としての面も生かし、世界40カ国にも事業展開していたが、今年7月、健康食品の国内外への展開を目指すハウス食品が買収、同社の完全子会社となった。

photo マロニーは鍋の具の定番=Webサイトより

ここがポイント

 今年こそ2億近い最終赤字を計上していますが、前年までの3年間は毎年1億円前後の純利益を計上、利益剰余金も16億円を超えているので、問題無さそうです。そして、企業の資産として何より大きいのが苦労の末に獲得した「マロニー」ブランドですね。

 ちなみに「マロニー」の知名度向上に大きく貢献した中村玉緒さんのCM、あの「マロニーちゃん♪」はCM台本にあった「マロニーさん」を準備中にそう口ずさんだ、玉緒さんのアドリブだったと言われています。

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」など多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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