北朝鮮の「生物兵器」は、どれほどの脅威なのか世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2017年10月26日 07時33分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 10月22日、総選挙が実施されて、自民党が圧勝した。

 選挙前には、解散の大義として北朝鮮の核・ミサイル開発が改めて取りざたされていた。ただそれが600億円と言われる税金を使った解散総選挙の理由になるのかどうかはいまだによく分からないが、少なくとも北朝鮮が核開発やミサイル実験を繰り返し、水爆実験まで成功させたとして、世界が不安を抱いているのは確かだ。またそれ以外にも潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発や、サイバー攻撃もこれまで以上に活発に実施している。

 そして今、北朝鮮が所有しているとされる別の「兵器」の存在が、世界的に改めてクローズアップされている。

 生物兵器である。

 2017年10月、ハーバード大学ケネディ行政大学院の研究機関であるベルファーセンターが、北朝鮮の生物兵器開発についての研究を発表し、話題になった。ベルファーセンターは大学が設置するいわゆる「大学系シンクタンク」であり、閣僚経験者や元軍幹部、元情報機関幹部などが在籍するほか、世界各地から研究者などを集め、日々研究を重ねている研究機関だ。筆者も在米中からベルファーセンターにはセミナーや授業などでお世話になり、何度も足を運んでいる。

 もちろん北朝鮮の生物兵器の存在は以前から議論されてきた。だがベルファーセンターが分析を発表したというだけで、37ページからなるこのリポートは注目されている。そこで、これまで以上に北朝鮮の脅威が高まっている今、このリポートやそのほかの情報などから、改めて北朝鮮の生物兵器がどれほどの脅威なのか見ていきたい。

北朝鮮の生物兵器はどれほどの脅威があるのか
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