連載
» 2017年11月14日 08時00分 公開

スピン経済の歩き方:中国メディアが指摘する「日本は改ざん文化」は本当か (2/5)

[窪田順生,ITmedia]

「日本は改ざん文化」は半分事実

 覚えておられる方も多いだろうが、日立がメインで手掛けた国内18基の原発の配管溶接の熱処理を巡る温度記録が15年以上前から虚偽報告されていたという不祥事である。内部告発で明らかになったこの「改ざん」によって、放射性物質が漏れ出すなど安全性に問題はなない、と日立側は説明した。現場の技術者がサクサクとノルマをこなすために手を染めたということでいえば、信頼を損ねる行為だが、品質には問題ないと釈明したのだ。

 そう聞くと、最近の神戸製鋼や日産とどこか似ているなと思うかもしれないが、それどころではない。例えば、改ざんの「主犯」とされた下請けの社長さんと、日立製作所の常務さんは「動機」をそれぞれこのようにおっしゃっている。

 「データが汚いと、親会社がいやがる」

 「仕事をもらう会社の立場にたって考えれば、仮にやり直しをさせられるとなると面倒だろうしその気持ちも……」(同上)

 納期優先に流れ、「きれいなデータ」に体裁を整えていた神戸製鋼や三菱自動車、マンション杭打ちを行った三井不動産の下請けが語っていることと丸かぶりではないだろうか。

 神鋼のデータ不正問題を受け、マスコミは「メイド・イン・ジャパンの信用が失墜した!」「ものづくり大国に激震!」なんて調子で、さもこれまでなかったような異常事態のように大騒ぎをしているが、10年単位で振り返れば、名門ものづくり企業では似たような「改ざん」がちょいちょい繰り返されており、「平常運転」ともいうべき話なのだ。

 一部報道では、神戸製鋼のデータ不正は10年どころではなく、数十年前からという話もある。もしこれが事実なら、日立、神鋼、日産、三菱自などはたまたまバレてしまった「氷山の一角」であり、同様のことを何十年も続けている企業が山ほどある可能性も否めない。「職人気質」「ジャパンクオリティ」という美辞麗句を隠れみのにして、品質問題にならない程度の「プチ不正」を日常業務として行っているのだ。

 こうなってくると、個々の企業が抱えている体質というより、日本社会のなかで同時多発的に発生してしまった「文化」という表現の方がしっくりくる。中国メディアの「新たな伝統」というのは明らかに大げさな話だとしても、「日本は改ざん文化」は半分事実なのだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ