ビジネスチャットツール「Slack」を展開する米Slack Technologiesは11月17日、同ツールの日本語版をリリースした。従来は国内向けに英語版を提供していたが、日本のユーザーから要望が相次いでいたほか、言語面が新規顧客獲得のネックになるケースがあったため日本語版の提供に踏み切ったという。
英語版は2013年にリリース。個人チャット、グループチャット、音声通話、ビデオ通話などの機能を備える上、Salesforceや基幹業務ソフト(ERP)のSAPなど他社ツールと連携して業務を効率化できる点も特徴だ。これまでは英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語の4カ国語に対応していた。
無料プランの「Free」のほか、より多くの機能が利用できる有料プランの「Standard」と「Plus」、大企業向けプラン「Slack Enterprise Grid」をそろえる。17年2月現在で、1日当たりのアクティブユーザー(DAU)は全世界で600万人超。
日本語版では、個人のアカウント名や「Channel」と呼ぶグループ名のほか、ヘルプページなども日本語に対応。有料プランのユーザーには、請求書も日本語で発行するという。
変換中の誤送信を防ぐため、デフォルトではエンターキーを押してもメッセージを送信できない仕様にし、代わりに送信ボタンを設けるなど、日本語入力ならではの悩みにも対応した。
入力欄に「:笑顔」と打ち込むと絵文字が表示されるといった、細かな仕様も取り入れた。
ユーザーには、運営側による通知用アカウント「slackbot」から日本語版への切り替えをレコメンドするメッセージを送信済みという。「言語&地域」タブから切り替えられるが、英語版を好むユーザーはそのまま使い続けることも可能だ。
Slack Technologiesは日本法人を設立済み。日本法人は今後、顧客対応やサービスの改善を担っていく予定で、18年をめどに本格的なオフィスを構えるという。
米Slackのロバート・フラティ セールス・カスタマーサクセス部門バイスプレジデントは「ユーザーリサーチを徹底的に行い、細かいレベルの仕様を日本人に合わせた。日本語版は単なる翻訳を超えたサービスだ」と説明。
日本では、ChatWorkの「チャットワーク」や米Microsoftの「Skype」、LINEとワークスモバイルの「LINE WORKS」なども人気だが、フラティ氏は「Slackのセキュリティの高さや、Salesforceなどビジネスに欠かせない他社ツールとの連携の良さは当社ならではだ」と自信を見せる。
日本法人の熊谷喜直氏は「日本では学校法人、中小企業、大企業など多岐にわたる顧客を獲得しており、東京での週間アクティブユーザー数は約33万人に上る。この数値を来年には倍増させたい」と強気な姿勢を示した。
ただ、「日本語版のリリースに当たってさまざまな機能を充実させたが、正解かどうかはユーザーが決める。今後はフィードバックを踏まえてより良いサービスにしていきたい」と話した。
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