気鋭のIoTベンチャー「ソラコム」 玉川社長が語る急成長の理由創業2年半でKDDI傘下入り(1/4 ページ)

» 2017年11月22日 07時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 8月、KDDIが創業わずか3年のベンチャー企業・ソラコムを買収するというニュースがビジネス界をにぎわせた。買収金額はソラコムの資本金の5倍を超える約200億円と報じられた。

 KDDIはM&A(合併・買収)を積極化しており、3月には宿泊予約事業者「Loco Partners」、7月には広告ベンチャー「Momentum」を買収。ソラコムはこうした中でも大型買収だ。ソラコムの何がKDDIを引きつけたのか。

photo ソラコムの玉川憲社長

IoT向けの格安SIMを提供、顧客数は8000ユーザー

 ソラコムが手掛けるのは、急速に発展しているIoT(モノのインターネット)専用の通信サービスだ。MVNO(仮想移動体事業者)として、センサーなどのIoT機器に挿入できる格安SIMカードなどを国内外の企業やユーザーに提供している。

 国内向けサービスについては、ソラコムがMVNOとして回線を借りている先は、実はNTTドコモ。いわばKDDIのライバルの“客”になるが、むしろKDDIのソラコムに対する期待値の高さを際立たせる。

 ソラコムの顧客は、三井物産やダイドードリンコなどの大企業から、人の排せつを予知するウェアラブル端末「DFree」を開発したトリプル・ダブリュー・ジャパンといったベンチャーまでさまざま。国内外のインフラ、製造、小売り――など幅広い分野の企業にサービス提供し、11月現在の顧客数は約8000ユーザーに上る。

 大企業の傘下に入ったことで、スタートアップならではのスピード感が失われることを懸念する声もあったが、10月には車載機器など小型のIoT機器に対応したSIMカード「eSIM」など7種類のサービスを一挙に発表。事業のペースは加速している。

photo ソラコムが提供するSIMカード

 ソラコムはなぜ、顧客から高い支持を得ているのか。KDDI傘下入り後、同社を取り巻く状況はどう変わったのか。ソラコムの玉川憲社長に話を聞いた。

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