メガネスーパー、「目のケア」に特化した新型店オープン 星崎社長が背景を語る最新の検査機器とリラクゼーション室を設置(2/2 ページ)

» 2017年11月22日 11時49分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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経営基盤の改善が新型店オープンにつながった

 メガネスーパーが新型店舗の拡大に踏み切る要因の1つに、経営基盤の改善が挙げられる。かつて同社の業績は、2007年4月期(06年5月〜07年4月)から悪化の一途をたどり、14年4月期には21億2000万円の営業赤字と26億3000万円の最終赤字を計上していた。

 不振時は市場のトレンドに追随し、検査時間を短縮して安価な製品を多売する戦略を採用していた。しかし、思惑に反して顧客数は減少。利益率が悪化し、業績を押し下げていた。このような状況を改善したのが、13年に就任した星崎社長だ。

 「検査を軽視した上で眼鏡を売る手法は、むくんだ足に無理やり靴を履かせて売るのと同じ。当社はトレンドとは一線を画し、安さでは勝負せず、あえて高付加価値サービスを提供する方針に切り替えた」(星崎社長、以下同)

photo メガネスーパーの星崎尚彦社長

 こうして生まれたアイケア戦略のもと、同社は業界で主流の「レンズ0円サービス」を13年に廃止。質の高い商品の展開に注力し、平均約2万円だった眼鏡の一式単価を平均3万6000円にまで上昇させた。両目で物体を見る能力を測る「トータルアイプレミアム検査」など、有料の検査サービスも始めた。

 「アイケア戦略の導入には、スタッフの士気を高める目的もあった。当社には検査や眼鏡の調整を得意とする職人肌のスタッフが多く集まっている。おしゃれで安価な眼鏡を量産するビジネスは不向きだった」

photo 高田馬場本店で取り扱う高品質な眼鏡

離れた顧客が戻ってきた

 一連の施策が奏功し、16年4月期には営業損益が5億円、純損益が2億6000万円の黒字に転換。その後も順調に推移し、18年4月期の業績は営業益7億円、純利益2億3000万円を見込んでいる。

 「一度他社に流れたものの、『やはり質の高い検査を受けたい』と感じた顧客が戻ってきた影響が大きい。方針に共感した多くの人材が他社から流入しているため、接客に多くの人員を投入できている効果も出ている」

 星崎社長によると、新型店舗へのリニューアルは「就任当初から構想していた」という。転換に要した金額は非公表だが、「高級感ある見栄えとなったが、決して大規模な金額を投じたわけではない」という。

 「投資が必要な点と、そうでない点を見極めて設備投資を行った。当社は黒字になったばかりの企業。“石橋をたたいたが、渡らない”ほどの念の入れようで、今後もビジネスに取り組んでいく」

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