サンフランシスコ「慰安婦像」の背景に、何があったのか世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2017年11月30日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

2人の活動の動機はどこにあるのか

 2人はその後、人体実験を行なっていた日本軍の731部隊を糾弾すべく、米ニューヨーク・タイムズ紙に多額を支払って意見広告を出している。とにかく日本が戦時中に行った行為を何としても糾弾したいようにも取れる。

 もちろん戦時中とはいえ、日本軍が人道的に問題のある行為を行ったことは事実。だが彼らは話を誇張しすぎるきらいがある。今回のサンフランシスコの慰安婦像も、大阪市の吉村洋文市長が言うように、「日本軍が強制連行し、数十万人の女性を性奴隷にし、そのほとんどが捕虜のうちに亡くなった」というのは、あまりに一方的な主張である。

 2人の活動の動機はどこにあるのか。それは、17年11月の韓国のハンギョレ新聞のインタビューで垣間見ることができる(参照リンク)。同記事では、なぜ15年以降に慰安婦問題に目をつけて、活動を始めたのかをこう語っている。「南京問題よりも重要ということではないですが、慰安婦の問題はさらに大きな戦いであることに気が付いたのです。私たちは日本が積極的に歴史を否定しているのを見ている」

 これまでの活動遍歴やこの言葉から分かるように、どうも「日本憎し」の感情が先に立っているようだ。しかも、その他のコメントを見ても、日本人の文化と歴史を到底理解させることは難しいだろうと思わせるコメントも出てくる。例えば高校まで上海で育ったというシン氏は「私の母から聞いた話では、日本兵が通りかかると、上海の人たちはあいさつとして彼らにお辞儀をしなければならなかったそうです。そこには、中国人は日本の奴隷であるという考えがあったからです」

 あまりに飛躍した話であるのは言うまでもない。こんな誤解は、日本人と話をする機会があればすぐに間違いであると気が付くと思うのだが、感情と目的が先に立っているためか、そもそも日本を知ろうともしないのかもしれない。

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