EVはもともと自動運転との親和性が高いとされているが、EVトラックと自動運転の親和性はさらに高い。自動運転化されたトラックであれば、高速道路を一定の車間で車列を形成しながら運転できるので、運送効率が極めて高くなる。ドライバーの過重労働の心配もないため事業者にとってはさらに魅力的だ。
EVトラックの登場は、自動運転システムの普及に弾みをつけることになるだろう。またEVの場合には騒音問題を軽減することができるため、深夜運用のハードルも下がる。
テスラはシリコンバレーの企業であり、カリフォルニアは米国で最も環境問題への関心が高い州の1つである。テスラとしてはお膝元である同州での普及を目指し、戦略的なEVトラックを投入したものと思われる。一方、日本はあまりEVに積極的とはいえず、EV化については各国よりもペースが遅くなる可能性が指摘されている。
だがトラック輸送に関しては話は別かもしれない。日本の運送業界は世界でもまれに見る低収益にあえいでおり、1円でもコストを安くしたいというのが現実である。もしかすると日本は、EVトラックの導入に対して最も積極的な国になるかもしれない。
仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。
野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。
著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。
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