スマホが普及したことや、シェアリングエコノミーという概念が登場したこと、あるいはAI技術が進歩したことは、それぞれが独立した話であり、直接の関連性はない。
だが、新しい技術やサービスを背景にした一連の動きは、全て密接につながっていると考えた方がよい。つまり飲食のデリバリーへのシフトは単なる流行ではなく、構造的変化である可能性が高いということである。
もしそれが事実だと仮定した場合、受動喫煙防止法を事実上、廃案にしてしまうことは、従来型の外食産業に対して致命的な影響を与える可能性がある。
企業の経営は、現状と3年後、10年後を同時に考えなければならない。確かに一部の飲食店は、禁煙化することで顧客が減るかもしれない。だがそれはあくまで部分的な話であって、全体の動きとは異なる。
こうした飲食店の経営が立ち行かなくなることが問題なのであれば、むしろ一時的な支援策を講じるなどの措置を検討した方がずっと効果的である。
受動喫煙防止法の事実上の廃案という一種のガラパゴス的な決断が、新世代デリバリーサービスの普及を促すのであれば、それはそれで良いことかもしれないが、既存の飲食店が大打撃となるなら、これほど皮肉な話もないだろう
仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。
野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。
著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。
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