残業時間を減らす方法は? ポイントは「時間以外」に注目すること残業の根本原因とは何か(1/3 ページ)

» 2018年01月15日 06時00分 公開

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本記事は、トレードシフトジャパンが運営する「トレードシフトブログ」から転載したものです。


 大手企業における問題をきっかけに、今「残業」が改めて社会問題として注目されています。人手不足により仕方なく残業が常態化してしまっている業種や企業も多いといわれている中、労働者の精神や健康被害を脅かす過度な残業に対し、社会の目も厳しくなっています。

photo 過度な残業に対する社会の目は厳しくなっている

 こうした中、多くの企業が強制退社時刻を設定したり、残業可能な条件を厳しく規定するなどの施策を実施していますが、以下のようなユニークな方法で従業員に早期帰宅を促すような事例もあります。

社員に早期帰宅を促すユニークな事例と対策

大手人材斡旋(あっせん)企業のケース:時間外労働時間の貼り出し

 集計された残業時間を会社に貼り出し、誰がどのくらい残業しているのかを全社員が確認できるようにしている。「残業=恥ずかしいこと」と認識させ、気持ちの面から社員の定時退社を促進する狙いがあるようです。

大手インターネット企業のケース:退社時間の宣言

 毎朝オフィスに設置されたホワイトボードに、社員が一人一人その日退社する予定時刻を宣言する。その日に退社する時間を自ら宣言することで、その時間を守ろうという気持ちが各個人に生まれるようになり、希望退社時間までに業務を終えるよう集中力をもって仕事をするようになるようです。

大手商社のケース:朝方勤務へのシフト

 午後8時以降の勤務を原則禁止とし、逆に早朝に勤務した場合は割増し賃金を支給する。また、早朝勤務をした社員に対しては軽食を支給することで、残業を減らすことを期待した施策です。

 このように「強制」ではなく社員が率先して早く帰るように「促す」取り組みが実践されており効果も出ているようですが、これらの早期帰宅のための施策には疑問の声も上げられています。「時間の短縮」という会社の意向は強く打ち出してはいるものの、社員の仕事の効率を実質的に上げるための援助は何もしていない、という点です。

 社員の立場から見ると「早く帰るように」と会社から要求されているものの、仕事を早く終わらせるための武器は何も提供されないため、結局仕事が時間内に終わらず退社後に別の場所で仕事をしたり、隠れて残業をするという新たな課題を生み出しています。また、報酬等でモチベーションを上げる施策は、実施当初は意味があっても持続的な効果を上げるための施策としては不十分だといわれています。

 残業時間を本質的に削減するには、時間短縮を社員に要求する、促すといった表層的な施策ではなく、残業の根本原因を解決する手段を企業や管理者側が提供することが求められているのです。

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