ソニーは、CES 2018において、8Kにも対応した次世代高画質プロセッサ「X1 Ultimate」を発表。4Kテレビに搭載している現行のX1 Extremeと比較して、約2倍のリアルタイム画像処理能力を実現するとともに、液晶パネルと有機ELパネルのそれぞれの特徴を引き出した高レベルの画質を表現できることを訴求した。
ここでは単なる技術発表だけでなく、同社ブースでは、試作段階にあるX1 Ultimateを活用した4K有機ELディスプレイと8K液晶ディスプレイを参考展示。8Kにおいても、独自の画像処理技術とバックライト技術を組み合わせて、HDRフォーマットの最高値である1万nitの超高ピーク輝度を表現し、8K時代に向けた準備に余念がないことを示した。
だが、ソニーの平井一夫社長は、8Kの実用放送開始に向けた取り組みにはやや消極的だ。CES 2018の会場でインタビューに答えた平井社長は、CES 2018のX1 Ultimateによる8Kディスプレイの展示について、「最上位の活用方法として8Kをお見せしたが、これはすぐに商品化するものではなく、今の技術でここまでできるという技術の優位性を見ていただいたにすぎない」とする。
そして、テレビ事業のマーケティング戦略の観点からも、「4Kがいよいよ定着してきた段階にある一方、8Kコンテンツを届ける方法が難しい中で、8Kテレビをメッセージングするのは時期が早いと考える。いまは、『4KプラスHDR』こそが顧客に対するメッセージだと考えている」と力を込める。
続けて、「これから伸びるのは4Kテレビ。8Kがこれからの主流だというような、あえて混乱するようなメッセージを出す必要もない。次々と技術を訴えても、ユーザーにとってベネフィットがなく、メーカーにとってもプラスに働くものではない」と、まずは4Kテレビを訴求していく姿勢を強調する。
NHK SHV 8Kが12月1日からスタートするタイミングで、BS右旋では12月1日からBS朝日、BSジャパン、BS日テレ、NHK SHV 4K、BS-TBS 4K、BSフジが4K実用放送を開始。BS/110度CS左旋では、ショップチャンネル、映画エンタテインメントチャンネル、WOWOWのほか、スカチャン4Kの8番組が同じく12月1日から4K実用放送を開始する。
8Kは1チャンネルだが、4Kの実用放送は、衛星放送波で18チャンネルが一気に立ち上がる。
また、ケーブルテレビやIPTVのほか、Netflixやアクトビラ、dTV、YouTube、Amazonビデオでも4Kコンテンツの配信を行っており、4Kコンテンツは豊富だ。4Kテレビが20万円を切る価格で販売されていることも、4Kテレビの普及を加速させることになるだろう。4Kを優先するのは、こうした市場背景も見逃せない。
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