果たして8Kは普及するのか? 国内電機メーカーに温度差積極派のシャープに対し……(5/5 ページ)

» 2018年01月25日 06時30分 公開
[大河原克行ITmedia]
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 だが、ソニーは、8Kの業務領域への提案は先行させたい意向だ。

 「かつてのアナログ時代に、ハイビジョンで撮影したコンテンツを4:3のアナログ放送で配信していた時期があった。これと同じように、コンテンツを制作する側は、今から8Kでコンテンツを作っておき、実際にユーザーに届ける際には、HDや4Kで配信し、将来的に8Kが本格化したとき、8Kで届ける準備ができるようになる。制作する側は新たな技術を先取りするべき。これは、ユーザーに対して今8Kをどう届けるのかは別の問題である」とコメントする。

 放送機器事業においても多くの実績を持つソニーは、8Kには放送機器の分野で先行させたいという思惑があると言える。

 ただ、ソニーの平井社長は、「8Kが本格化する時期については、なかなか明確には言えない」とし、「8Kで撮影したコンテンツも増やさなくてはならないし、チップセットの性能も上げていく必要がある。また、8Kコンテンツをどう配信するのかも課題」とする。

 8Kの実用放送が始まっても、8Kブームが到来するには、電機メーカー各社の足並みがそろう必要がある。それにはまだ時間がかかりそうだ。

著者プロフィール

大河原克行(おおかわら かつゆき)

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、25年以上にわたり、IT産業、電機業界を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、ビジネス誌、Web媒体などで活躍。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、AVWatch、クラウドWatch、家電Watch(以上、インプレス)、日経トレンディネット(日経BP社)、ASCII.jp(KADOKAWA)、ZDNet(朝日インタラクティブ)などで連載記事を執筆。夕刊フジでは「まだまだスゴい家電の世界」、中日新聞では「デジモノがたり」を連載中。著書に、「松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド戦略」(KADOKAWA)、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「図解 ビッグデータ早わかり」(KADOKAWA)などがある。近著は、「究め極めた『省・小・精』が未来を拓く――技術で驚きと感動をつくるエプソンブランド40年のあゆみ」(ダイヤモンド社)。

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