シニア人材を社員として募集するケースが増えてきた。
ネスレ日本(兵庫県神戸市)は1月25日、60歳以上を対象に契約社員の募集を始めた。他企業で定年退職した人の採用を想定。
募集する職種は、事務職や営業職、工場のエンジニア、製造オペレーターなど。営業職は、食品や消費財メーカーでの営業経験を持っていることが条件としている。契約社員としての採用だが、能力を見て正社員への切り替えも検討するという。採用人数は公表せず、通年採用を行う。
大阪の老舗医薬品メーカー、森下仁丹は昨年3月に、50代をターゲットにした「第4新卒採用」を始めた。前職での経験や、同業界での就業経験は問わず「入社後にやりたいこと」「やる気」といったポテンシャルを重視した。「イノベーションを起こせるのは若い人だけではない。豊富な人生経験、ビジネス経験を積んだシニアも大きな可能性を秘めている」(同社)と説明している。
「第4新卒採用」では、最終的に2200人から応募者があった。応募者の最高年齢は72歳だったという。
同社の広報、磯部美季さんによると「新卒から同じ会社でずっと働いてきた50代が『このまま定年を迎えることになってもいいのか』と自問自答し、新たな挑戦を決意した人や、自身の病気や親の介護で実家に戻っていたが、再チャレンジをしたいという人が多かった」という。
「想定以上に応募が多く、また、熱のあるエントリーシートが集まった。最終的に10人を採用した」(磯部さん)
元日本マイクロソフトや元ソニーなど、大手IT企業で経験を積んだ人材などを採用した。Eコマース分野でのAI(人工知能)の導入などを担当しているという。
「シニアの採用にトライしようと考える企業が増えてきている。シニアが活躍できる場が増えることは良いこと。今後、『第四新卒採用』を掲げる企業が増えてほしい」(同)
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