さて、マルチ路面での走行性能についてだが、これはハードウェアに規定されるのでかなり分かりやすい。例えば16インチタイヤの採用。180ミリの最低地上高、急坂へのアクセスでアゴやお尻をヒットしないための大きなアプローチアングルとデパーチャーアングルが確保されている。
ちなみにアングルはフロント19.7度。リヤが40.4度。ぬかるみなどで空転を防ぐブレーキによる擬似LSDの「グリップコントロール」と、低μ路の急坂を降るときにブレーキを自動アシストしてくれる「ヒルディセントコントロール」など、そこそこアドベンチャーなシチュエーションが訪れてもサポートしてくれるようになっている。
もちろんシャシーそのものはモノコックなのでジムニーと同じに考えてはいけない。あくまでも乗用車よりちょっとだけ悪路に強いということで、それは多くのユーザーが試みるアドベンチャーの範囲と一致しているはずだ。例えば先日都内で降った大雪のような場面でも、4WDモデルにスタッドレスさえ履けば難なく走行することは可能だろう。
さて実際に乗ってみてどうか? スズキの室内空間の仕立ては大変好もしく、何と言っても近年のクルマにはないAピラーの立ちっぷりが素晴らしい。フロントウィンドーの圧迫感はゼロ。シート高60センチも良い。腰を落とすために膝に負担を掛けることもないし、よじ登る感じもない。特に高齢者には嬉しい仕様だろう。
運転環境についてはこれもいつものスズキで、ペダルオフセットは多少あり、満点はあげられない。許容できるかどうかは人によるだろうから、ここは必ずチェックするべきだろう。
エンジンは3気筒996ccの直噴過給ユニットで、さらにインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)を使ったマイルドハイブリッドになっている。ISGとはスターターモーターに減速時に発電させる仕組みで、ローコストにもかかわらず回生が可能な点が優れている。6段トルコンステップATとの組み合わせで、かなりしっかりしたパワートレーンとなっている。ゆっくりとわずかに踏んだとき、タイヤを意識してひと転がりさせられる。こうした微妙な制御が可能なユニットは高く評価したい。全開時のパワーも十分にあり、合流や追い越しでもたつくことはないだろう。
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