「未来の営業マニュアル」いかがですか

コンシェルジュはどこで仕事をしているのか ホテルの中だけでなく超・営業力(2/4 ページ)

» 2018年02月13日 11時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

自分がやりたかったことと少し違うのでは

――学生時代にホテルで働くことに憧れていたということですが、フロントで働くことは楽しかったのでは?

 自分がやりたかったことができない――。このような葛藤にずっと悩んでいました。どういうことかというと、フロントでチェックインの対応をしているときに、足の不自由なお客さんがいるとします。そうしたとき「できれば部屋まで案内したい」と思うのですが、その場を抜け出すことはできません。カウンターに立っている人間が抜けてしまうと、他のお客さんにご迷惑がかかるので。でも、困っている人が目の前にいるのに手を差し伸べることができないことに、葛藤を感じていました。

 当時の上司に相談したところ、「ここはビジネスホテルなので、そこまでやらなくてもいい。いまは自分の仕事に集中しろ」と言われました。フロント業務に携わってから数年間、「自分がやりたかったことと少し違うのでは」と悶々としていました。

 とはいえ、お客さんと接しているときは、ものすごく楽しかったんです。「お客さんの笑顔を見たい」「自分も笑顔を忘れてはいけない」「接客を極めたい」といった気持が強くて、プラスアルファのサービスをどのようにしたら提供することができるのかといったことをよく考えていました。

――どういったきっかけで、コンシェルジュの仕事に携わるにようになったのでしょうか?

 2015年4月に「ホテルグレイスリー新宿」のオープンが決まりまして、そこでコンシェルジュを配置することになりました。上司からも「やってみないか」と言っていただき、立ち上げメンバーのひとりになりました。アルバイトとして働くことになってから、ずっとフロント業務に携わっていたので、「コンシェルジュ」と聞いても、どんな仕事なのか想像できませんでした。当社の場合、ホテル椿山荘東京にコンシェルジュがいるので、1カ月間、そこで研修することになりました。

 コンシェルジュをしている人たちを見ていると、さまざまなことに対応していることが分かってきました。チェックアウト時にお見送りをしたり、観光名所を伝えたり、ツアーやレストランを予約したり、クルマを手配したり。お客さんの要望に対して、できることは全て対応していました。

新宿ワシントンホテルは東京都庁の近くにある

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