突然だが、あなたは「スゴい営業」「スゴい接客」を受けたことはあるだろうか。私はある。いとも簡単に落ちてしまった。単に私が“人がいい”からというのもあるのだが。
私は最初に就職した会社で営業をやっていたのだが、新人時代はよく「人の営業から学ぶように」と言われたものだった。優秀な営業マンを見ていて、ヒアリング、プレゼン、クロージング(受注を促すこと)、アフターフォロー、さらには身なりからマナーまで、いちいち優れていると感じた。
「なんだ、営業の話か。私には関係ない」と思わないでほしい。どの職種においても、「営業力」は求められる。企画関連の仕事だってそうだ。自分の企画が通らなければ始まらない。企画が通ったところで、営業マンを始めとする関係者に理解され、納得されないと売れない。
物書き業界においても、編集者には高い営業力が求められる。書いてもらいたい著者を口説き落とし、売れそうな企画(必ずしも、その著者がやりたいことではない場合もある)をプロデュースし、忙しい著者から締め切りまでに原稿を回収し、本を売る仕掛けを考え、実行するというプロセスは「営業」そのものだ。
以前、ドキュメンタリー番組の『情熱大陸』で幻冬舎の見城徹社長が取り上げられていたのを見た。カリスマ編集者として知られる彼から、トップ営業マンと同じ空気を感じた。作家の五木寛之氏に書いてもらうために、ずっと返事がこなくても新作が出るたびに感想文を送り続け、それがキッカケで出版に至ったというのは有名なエピソードだ。この他にも武勇伝は多数あるが、これはトップ営業マンそのものだろう。
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