黒い本体と銀のレバーでおなじみの文房具の定番、「クリップ」が100年ぶりに進化を遂げる――そんなニュースが話題を呼んでいる。言わずもがなだが、クリップはレバーに力を加えて本体を開き、書類などを挟む使用法が一般的だ。
ただ、ホールド力の強さ故に、力の弱い人が開こうとすると“パチン”と弾け飛ぶケースもあった。だがユーザーは「そういうものだ」と割り切り、構造に疑問を持つことなく使い続けてきた。
誰もが当然と考えていた構造を見直し、従来品の約半分の力で開けるクリップ「エアかる」を開発したことで、注目の的となっているのが文房具メーカーのプラスだ。
「エアかる」は「てこの原理」を応用し、本体部分に突起を作ることで支点をずらしたほか、レバーの長さを伸ばすことで、ホールド力を保ちつつ軽い力での操作を可能にした製品だ。
大・中・小の3サイズをそろえ、価格はそれぞれ10個入りで450円、350円、300円(全て税別)。
発売は3月1日とまだ先だが、ネット上では「実物を試したい」「なぜ今まで気が付かなかったのか」――と好意的な声が挙がっている。
プラスはなぜ、誕生から1世紀以上がたった今、クリップに目を付けたのだろうか。
コーポレートコミュニケーション部 広報・宣伝室の藤原純子氏は「ここ数年、クリップ需要が高まりを見せている。当社はこのチャンスを機に、需要増の要因を掘り下げて考えつつ、現在の商品が本当にベストなのかを問い直したいと考えた」と話す。
「社内で議論した結果、需要増の要因はオフィス環境の変化だという結論に至った。以前はあらゆる書類を出力し、ファイルにとじたまま長期にわたって保管。必要に応じて取り出して業務に当たっていた」(藤原氏、以下同)
「だが、現在はビジネスのペーパーレス化が進み、書類を電子化してデータベース上に保存するケースが一般的となった。そこで現場では、利用する書類を一時的に出力してクリップでまとめ、使用後すぐに破棄するようになった。出力と破棄のペースが早いため、クリップの使用頻度が増えているというわけだ」
「そこで当社も時代の変化に合わせて、クリップの『書類のまとめやすさ・捨てやすさ』、すなわち『開閉しやすさ』をさらに高め、より使い勝手の良い製品にシフトすべきだと判断した」という。
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